「未経験でも不動産業界に転職できるのだろうか」「転職の準備を進めるにあたって、不動産業界の仕事内容や必要な資格などの情報が知りたい」 と思っていませんか。

本記事では、不動産業界へ転職したいと考えている方向けに、主な仕事内容や求められるスキル、給与、キャリアパスなどの情報をお伝えします。不動産業界を選択するメリット・デメリット、転職のポイントも年代別に解説するので、これから転職活動を始めたいと思っている方はぜひご一読ください。

不動産業界への転職、未経験でも叶えられる？

未経験から不動産業界へ転職できる可能性は十分にあります。なぜなら、少子高齢化や不動産業を営む法人数の増加によって、人材不足の傾向が続いているからです。

職種によっては未経験者でも積極的に採用している企業もあるため、転職のチャンスはあると言えるでしょう。 不動産業界には、さまざまな職種が存在しています。業界の仕事内容を知り、「転職後に何ができるのか」「自分の適正に合っているのか」を明確にしたうえで、転職活動を進めることが重要です。

不動産業界の主な仕事内容

不動産業界でどのような職種があるのか紹介します。それぞれの主な仕事内容もまとめたので、転職活動を進める際の参考にしてください。

職種	主な仕事内容
不動産営業	・物件の売買、賃貸の仲介業務 ・顧客開拓 ・アフターフォロー
不動産事務	・契約書作成 ・顧客対応 ・物件情報の管理
不動産コンサルタント	・不動産売買、投資、資産運用などのサポート ・市場調査、物件分析 ・提案、コンサルティング
不動産鑑定士	・不動産の調査、価格評価 ・鑑定評価書の作成 ・担保評価、相続、企業買収などのコンサルティング
デベロッパー	・市場調査、企画立案 ・土地の取得、開発 ・物件の販売 ・建物の管理

どの職種でも顧客との関係性構築や、コミュニケーション能力が求められます。顧客が求めていることを丁寧にヒアリングし、ニーズに合わせて適切なものを提案する力が必要です。

不動産業界で活躍するには、専門知識を積極的に吸収して業務で活かさなくてはなりません。一度覚えたら良いわけではなく、法改正にも対応できるよう知識のアップデートも必要でしょう。

不動産コンサルタントや不動産鑑定士には、高度な専門知識とスキルが求められます。不動産業界で働いてきた経験が、求人の条件に含まれている場合もあります。

不動産営業や不動産事務は間口が広く、業界未経験でも入りやすい職種です。どの立ち位置に自分がいるのかを把握し、転職先の企業と職種を選ぶことが大切だと言えます。

不動産業界で求められるスキルと経験

不動産業界で活躍するには、下記のようなスキルが求められます。

• コミュニケーション能力（顧客との信頼関係構築、チームワークを発揮した経験）
• 営業力（顧客ニーズの把握、提案力・交渉力がある）
• 事務処理能力（正確性・迅速性・丁寧に業務進行できる）
• 情報収集能力（市場動向・物件情報・法改正などにアンテナを張る）
• 責任感（顧客情報の保護やコンプライアンスを守れる）

どの職種を選ぶにせよ、これらのスキル・経験を求められることが多くあります。職種によっては、ITスキル、建築・設計に関する知識、英語力などが求められることもあるでしょう。

また、これまで顧客対応をした経験や、提案力を発揮して契約を獲得した実績は、不動産業界とも親和性が高く選考が有利に進む可能性があります。

不動産業界へ転職したあとの給与

厚生労働省が実施した令和5年賃金構造基本統計調査によると、不動産業・物品賃貸業の賃金平均は340.8千円でした。年収に換算すると約400万円です。

この数値はあくまでも平均値なので、少ない場合も多い場合もあるでしょう。 選ぶ職種や仕事の成果によっても給与は大きく異なります。専門性の高い不動産コンサルタントや不動産鑑定士になると、年収600万～1,000万円クラスになることもあるようです。

企業の給与体系によっても異なる部分のため、転職活動中にしっかり確認しておきましょう。入社直後の給与は低くても、キャリアを積んでいくなかで高められるのか、チェックしておくと安心です。

不動産業界に転職したあとのキャリアパス

不動産業界に転職後、さまざまなキャリアを選択できます。その一例は下記のとおりです。

【営業職の場合】

• 店長やエリアマネージャーなど、マネジメント職を目指す
• 賃貸から戸建て、事業用・投資用物件を提案できるようになるなど、自分が扱える物件の幅を広げて専門性を高める

【事務職の場合】

• 契約関係や物件管理のスペシャリストになる 部署内で昇進を重ねる

【不動産コンサルタント・不動産鑑定士の場合】

• 企業で活躍するほか、独立開業の選択肢もある

さまざまな選択肢があるなかで、自分はどんなキャリアを描いていきたいのか、転職前から明確にしておきましょう。そうすることで、企業や職種選びでの失敗が少なくなります。

不動産業界への転職で有利になる資格

不動産業界への転職にあたって、選考が有利になる資格は下記のとおりです。

• 宅地建物取引主任者（宅建）
• 賃貸不動産経営管理士
• 不動産鑑定士　など

すでに取得していると選考が有利に進む可能性があるため、履歴書などで積極的にアピールしましょう。 未取得の場合でも焦る必要はありません。転職後の研修などで資格取得のサポートが用意されている場合があるからです。

転職に向けて資格取得の時間を費やすより、企業研究や自己分析に時間をかけて、自分自身をしっかりアピールできるよう対策したほうが、転職活動の長期化を防げます。

ただし、業界未経験の場合は、不動産に関する基礎知識があったほうが熱意を受け取ってもらいやすいです。できる範囲で学習を進めて、選考の際には「勉強を始めている」とアピールしても良いでしょう。

不動産業界に転職するメリット

不動産業界に転職するメリットは下記の3つです。

• 収入が安定している
• キャリアの選択肢が豊富
• さまざまな顧客と関われる

それぞれ見ていきましょう。

収入が安定している

不動産業界は、景気に左右されにくいと言われています。年功序列の賃金体系で、経験年数に応じて給与が上がることが多い点もポイントです。

仕事で高い成果を出した場合は、ボーナスやインセンティブなど金額に反映されることもあるでしょう。

キャリアの選択肢が豊富

さまざまなキャリアから活躍のステージを選択できます。企業組織のなかで働くだけではなく、独立して起業する選択肢も考えられます。

ただし、高度な専門性・スキルが必要なコンサルタントやデベロッパーなどを目指す場合は、常に新しい知識を学び、自分をアップデートしていく努力も大切です。

さまざまな顧客と関われる

新生活を始める人や夢のマイホームを購入する人など、さまざまな人と関われる点がやりがいにつながります。関わる顧客には人生の節目を迎える方が多く、不動産を通して生活を支えることができます。

顧客が法人になれば、動かす金額も大きくなるでしょう。企業や社会の課題解決にもつながるため、やりがいと達成感も得やすいと言えます。

不動産業界に転職するデメリット

不動産業界へ転職するメリットがある一方、デメリットもあります。

• 土日休みではない場合がある
• 高いノルマを与えられる可能性がある

デメリットになる点も把握し、転職活動を進めることが大切です。

土日休みではない場合がある

一般的に不動産業の会社は水曜休みが多いと言われています。その理由は下記のとおりです。

• 顧客の利便性を考えて土日を営業日にしている
• 関連する会社も水曜休みが多い
• 水曜日の「水」という漢字が「契約が水に流れる」と連想させる

昔からの慣例で、水曜日が休みとなっていることが多いようです。 土日休みの働き方を選びたい場合は、求人情報をしっかり確認するようにしましょう。

高いノルマを与えられる可能性がある

毎月のノルマを与えられ、一定数の契約を獲得しなければならないケースが多くあります。常にノルマの達成がつきまとうため、プレッシャーやストレスが蓄積するかもしれません。

企業の社風によっては、社内の先輩・同僚と数値で比較されることもあります。ストレスに耐えられる心の強さも必要です。

【年齢別】不動産業界へ転職するポイント

不動産業界に転職する年代によって、意識すべきポイントが異なります。ここでは、20代・30代・40代・50代と年代別にそれぞれのポイントを紹介するので、参考にしながら転職活動を進めてみてください。

20代で不動産業界に転職

業界未経験だとしても、20代のうちはポテンシャルの高さや新しいことにチャレンジする意欲も評価対象になります。

不動産営業や事務などの職種で転職し、そこから経験を積んでいくのがおすすめです。転職先で活かせるスキルや経験がある場合は、積極的にアピールしましょう。

【関連記事：【20代】転職活動期間の平均は約3ヶ月｜おすすめのタイミングや成功事例も紹介】

30代で不動産業界に転職

不動産業界での経験や専門知識、資格があると選考に有利です。 業界未経験の場合は、前職での取引実績や成約数などを提示し、転職先で貢献できることをアピールすると良いでしょう。

チームを率いてまとめたり、マネジメントしたりした経験も評価されやすいポイントです。 30代は結婚や子育てによって生活が大きく変わるタイミングです。転職によって今後のライフワークバランスを維持できるのか、慎重に検討する必要があります。

【関連記事：30代の異業種転職は厳しい？データや実際の体験談、転職方法を紹介！】

40代で不動産業界に転職

40代になるとリーダーシップやマネジメント能力、人材育成する指導力などが求められます。まったく未経験の仕事を選択するより、これまで培ってきた経験や知識、スキルを活かせる職種を選ぶことが大切です。

より専門性の高い、不動産鑑定士のような資格を保有していると有利になるでしょう。これまで業界経験があれば、コンサルティングやデベロッパーの道へキャリアチェンジすることも可能です。

ただし、40代では年齢の高さがネックになり、転職活動が長期化するリスクも増えます。柔軟に新しいことを吸収し、転職先に貢献できる点をアピールしましょう。 転職先によっては、今までの立場より低いポジションでの採用になったり、給与が低くなったりする場合があるので注意が必要です。

50代で不動産業界に転職

50代では、専門性の高い経験と知識、スキルはもちろん、業界内での人脈や顧客基盤を持っていると有利です。 管理職としてマネジメントや育成に携わってきたスキルは、転職先でも重宝されるでしょう。

大きなプロジェクトを動かし、得られた実績がある場合は積極的にアピールします。 50代での転職では、管理職や経営層などハイキャリア人材が求められます。

ポジションに限りがあるため求人そのものの数が少なく、情報の多くは表に出回りません。 そのため、条件に合致する転職先が見つからず、転職活動が長期化することもあります。現職を退職するタイミングなどに注意が必要です。

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不動産業界への転職に向けて、主な仕事内容や求められるスキル、給与、キャリアパスなどの基礎情報をお伝えしました。転職後、どのような仕事をするのか知り、自分の目指すキャリアを叶えられる企業・職種を選択することが重要です。

不動産業界は給与が安定していると言われており、未経験でもチャレンジできる職種もあります。ただし、土日休みではなかったり、高いノルマによるプレッシャーを感じたりすることもあるため、自分に合った仕事なのかしっかり確認しておきましょう。

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