普段、街を歩いていて「素敵なお家だな」「スタイリッシュな美術館だな」と思ったことはありませんか？それらのデザイン設計を行っているのは意匠設計です。地域貢献にもつながる意匠設計の仕事ですが、簡単になれる職業ではありません。

本記事では、意匠設計の仕事内容や年収、向いている人の特徴、働くメリット・デメリットなどを解説します。意匠設計に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

意匠設計（いしょうせっけい）とは？仕事内容や年収を紹介

意匠設計とは、建造物や橋梁（きょうりょう）、部屋の間取りなどのデザインを設計する仕事です。美しさや奇抜さといった見た目のコンパクトだけではなく、心地よさや機能性なども考慮して設計することが求められるのです。

ここでは以下の意匠設計の概要をご紹介します。

• 仕事内容
• 資格
• 勤務場所
• 平均年収

仕事内容

意匠設計の仕事内容は以下のとおりです。

• 建造物の敷地や周辺の環境などの調査
• 施主との打ち合わせ
• コンセプトの作成・提案
• 実施設計
• 施工
• アフターフォロー

このように意匠設計はデザイン設計のみならず、施主との打ち合わせや設計士、施工会社との密な関わりが必要となる仕事です。

資格

一般的に意匠設計は「木造建築士」「一級建築士」「二級建築士」の資格が求められます。木造建築士は木造建築、二級建築士は設計可能な建造物の規模が制限されているのに対し、一級建築士は制限がありません。

一級建築士の資格取得には1～2年程度の勉強が必要ですが、関われる仕事が増えるため取得するメリットは大きいでしょう。

勤務場所

意匠設計は以下のような場所が勤務場所として挙げられます。

• 意匠設計事務所
• ハウスメーカー
• インテリアデザイン事務所
• アトリエ設計事務所
• ゼネコン

平均年収

意匠設計の年収は、勤務先の企業規模、経験年数、実績、スキルなどによって幅がありますが、大体の目安は以下のとおりです。

【新卒初任給】	【経験3～5年目】	【管理職/上級職(10年以上)】
大手製造メーカー: 400万円前後 中小企業: 300万円前後	大手製造メーカー: 500万円前後 中小企業: 400万円前後	大手製造メーカー: 800万円～1,200万円 中小企業: 600万円前後

一般的に、大手有名メーカーの方が初任給・年収ともに高い水準となっています。また、東京や大阪など大都市勤務の場合は地域手当がつくため、さらに年収が高くなる傾向です。

高い実績と能力を持つ一流の意匠設計で、重要なプロジェクトをリードするようになれば、1,500万円以上の年収も可能だと言われています。転職やフリーランスになるなどで収入を大きく伸ばすケースもあり、個人の交渉力やスキルによっても年収は変動するでしょう。

意匠設計と間違えやすい仕事

意匠設計と間違えやすい仕事は以下のとおりです。

• 構造設計
• 設備設計

構造設計

構造設計とは、建造物が強風、地震、雪などの外力に対して安全であることを確保するための構造体の計算や設計を行うことを指します。

設備設計

設備設計とは空調や電気、防災、衛生設備などのシステムや設計を行う仕事です。建物の機能性や快適性、効率性を確保するための重要な役割を担っています。

意匠設計に向いている人の特徴7つ

意匠設計に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

• デザインのセンスがある
• 空間把握能力がある
• 流行を敏感にキャッチできる
• コミュニケーション力がある
• 建物が好き
• 追求できる
• 体力がある

それぞれの特徴を見ていきましょう。

デザインセンスがある

デザインセンスが長けている人は、意匠設計に向いているでしょう。意匠設計は建築主の要望にあわせて、視覚的にインパクトを与えるようなデザインや機能性のある間取りを設計する必要があります。

デザインのセンスが長けていれば、お客様の満足度も上がるでしょう。

空間把握能力がある

空間把握能力がある人も意匠設計に向いているでしょう。空間把握能力とは、物質間の距離や方向、位置関係を理解し、それらが移動したり回転したりするのを頭の中で想像できる能力です。

この能力は誰しもが持っているわけではありません。「インテリアを考えるのが得意」という方は空間把握能力があると考えられます。

流行を敏感にキャッチできる

流行りに敏感な人は意匠設計に向いているといえます。デザインの流行は常に変化していきます。流行に敏感であれば、幅広い世代にあわせた設計に対応でき、自身の対応できる幅を広げられるでしょう。

コミュニケーション力

「意匠設計はもくもくと設計図を描く仕事じゃないの？」と思う方もいるかもしれませんが、意匠設計は設計図を描くだけではなく、施主や営業や現場監督など、多くの人とやりとりをしながら設計を進めていく必要があります。

そのため、コミュニケーション力がある人が向いていると考えられます。

建物が好き

「建造物を見るのが好き」「間取り図をよく眺めてしまう」という方は、意匠設計に向いているでしょう。意匠建築士になるには常に学ぶ必要があります。そもそも建物自体に興味がなければ根気よく続けられないでしょう。

追求できる

追求できることも、意匠設計に向いている人の特徴です。施主によって新しい建造物をつくることは大きな決断です。

また、大きなお金も動きます。そのため、細部までこだわりたいという気持ちが強くなるのも必然と言えます。「要望に応えたい」と思える人は意匠設計に向いているでしょう。

体力がある

意匠設計には体力も必要です。とくに9月や12～3月頃の繁忙期は忙しく、数件を並行して対応しなければなりません。頭を使うことが多いため、体力がある人は意匠設計に向いていると言えます。

意匠設計に向いていない人の特徴4つ

意匠設計に向いていない人は、以下のとおりです。

• こだわりがない
• チームで働くのが苦手
• 想像力が乏しい
• 忍耐力がない

こだわりがない

こだわりがない人は、意匠設計に向いていないでしょう。施主にとって家やビルなどの建造物は大きな買い物です。

また、長い期間住み続ける、通い続ける場所ですから妥協はしたくないでしょう。その気持ちを汲み取って、最善の提案をしていかなければ意匠設計として働くのは難しいと考えられます。

チームで働くのが苦手

チームで働くのが苦手な人も、意匠設計に向いていないでしょう。意匠設計は一人でもくもくと設計図を作成するだけの仕事ではありません。

施主や職人、現場監督、CADオペレーターなどさまざまな人と相談しながら建造物を完成させていく必要があります。そのため、チームで働くのが苦手だとしんどくなってしまう可能性があります。

想像力が乏しい

想像力が乏しいと意匠設計になるのは難しいでしょう。意匠設計はゼロから建造物を設計する必要があります。そのため、想像力がなければ施主の細かな要望には対応できないと考えられます。

忍耐力がない

忍耐力がない人も意匠設計には向いていないでしょう。家やビルの建設は半年以上はかかるものです。

設計どおりにつくられているか最後まで見守る必要があります。そのため、忍耐力がない人は意匠設計には向いていないと考えられます。

意匠設計として働くメリット

意匠設計として働くメリットは、以下のとおりです。

• 自身のセンスを活かせる
• 年収が安定している
• 地域に貢献できる

自身のセンスを活かせる

意匠設計はデザインのセンスが必要な仕事です。普段から友人や家族などにセンスを褒められる機会が多い方は、そのセンスを最大限に活かせるでしょう。

あなたのセンスが建造物となってカタチになり、多くの人に見てもらう機会が増えることで自分の自信にもつながるのです。

年収が安定している

意匠設計は比較的年収が安定している仕事と言えます。またこれから日本は観光業の需要が増えると予想されるため、新しい建造物の需要もさらに高まっていくでしょう。

第二建築史や第一建築士など、自身がいかに勉強して資格を取れるかによっても年収を上げられるのが魅力です。

地域に貢献できる

意匠設計は地域に貢献できる仕事です。「ここの建造物を一目見てみたい」「この建物のデザインが好き」と思って訪れる人も少なくないでしょう。自分が設計に関わった建物が人を集めるきっかけになり、地域貢献につながります。

意匠設計として働くデメリット

意匠設計として働くデメリットは以下のとおりです。

• 長時間労働になる可能性がある
• 建造物が完成するまでに時間がかかる

長時間労働になる可能性がある

意匠設計の仕事は、場合によって長時間労働になる可能性があります。施主の要望によっては短期間の納期を求められたり、要望にあわせて設計の修正などを行ったりします。

とくに繁忙期は並行して案件を進める必要があるため、残業が発生してしまうのも珍しくないでしょう。休日も返上して仕事をしなければいけない状況も覚悟する必要があるのです。

建造物が完成するまでに時間がかかる

建造物の大きさによって異なりますが、建造物が完成するまでには数年程度かかります。

またその間に、施主からの細かな要望に答えるために都度設計の見直しや提案を行っていく必要があります。そのため、かなりの忍耐力がないとしんどいと感じるかもしれません。

未経験でも転職できる？意匠設計の仕事に就く方法

「未経験でも意匠設計になれるの？」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。結論から述べると、人手不足により未経験OKの求人も多く見受けられます。

しかし、勉強して資格を取得していないと任せてもらえる業務に制限がかかります。

未経験OKの設計事務所に入社し、仕事をしながら資格を取ることは可能ですが、二級建築士や一級建築士の資格は難易度が高く、中途半端に取り組むと挫折してしまうおそれがあります。まずは、学校に入ってしっかり勉強に集中する期間をつくるほうがよいでしょう。

意匠設計の適性があるか「コンピテンシー診断」で確認してみよう

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パーソナリティの特徴は、下記9つの項目で評価されます。

• ヴァイタリティ
• 人当たり
• チームワーク
• 創造的思考力
• 統率力
• 状況適応力
• 問題解決力
• プレッシャー耐力
• オーガナイズ能力

たとえばストレス耐性の項目には、以下のようなものがあります。

• 変化と混沌
• 突発への対処
• ハードスケジュール
• 戦略欠如
• 上下関係の厳しさ
• 評価されない
• 自主的にできない
• 意思決定に参画できない
• ルーチンワーク
• 難しい局面での決断

意匠設計はチームワークや創造的思考力などが必要な仕事です。また、施主の要望によっては変化や突発的な対応を行わなければならないでしょう。

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自分の適性を知って、意匠設計を目指そう

本記事では意匠設計の仕事内容や向いている人・向いていない人の特徴、働くメリット・デメリットなどを紹介しました。

意匠設計とは、建造物や部屋の間取りなどのデザインを設計する仕事です。とてもやりがいのある仕事ですが、なるためには多くの時間勉強に費やしたり、意匠設計としてデビューしても常にスキルを磨き続けたりなどの必要があります。

まず自分が向いているのか、自分に適性があるのか把握したうえで、意匠設計を目指しましょう。

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