生活していくうえで、家電やパソコンなどの電子機器は生活に欠かせません。それらのあらゆる機械が動くメカニズムを設計するのが、機械設計エンジニアという仕事です。

オール電化やDX推進の動きが加速している背景から、機械設計エンジニアの需要は高まっていますが、未経験からでも転職は可能なのかと疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、機械設計という仕事の需要が高まっている理由や機械設計に転職するメリット、転職を成功させるコツについて紹介します。

機械設計エンジニアに転職するのは難しい？

結論から言うと、高度な技術を要する機械設計は誰もが転職できる仕事ではありません。しかし、人手不足により需要は高まっている状況です。

厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況（令和6年1月分）」の参考統計の「職業別一般職業紹介状況」によると、製造技術者（開発）の有効求人倍率が2.01倍という結果でした。全職種合計の有効求人倍率が1.21倍なので、機械設計のニーズが高く人手が不足していることがわかります。

このように機械設計エンジニアは応募者数よりも求人数の方が多い「売り手市場」です。そのため、転職の際に応募先に困ることはないでしょう。

ただし、機械設計エンジニアはスキルを求められる仕事なため、経験や知識が浅かったり、転職先に求める条件が明確でなかったりすると、転職が難しい場合があります。機械設計に転職する際の注意点をしっかりと押さえ、転職活動を行う必要があるでしょう。

未経験でも機械設計エンジニアに転職できる？

専門性を求められる機械設計エンジニアですが、果たして未経験からでも転職できるのか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

結論から述べると、未経験でも機械設計に転職することは可能です。また機械設計エンジニアになるためには資格は必須ではないため、未経験者にも転職するチャンスがあります。

ただし、専門知識や実務経験が求められる職業なので、転職のハードルは非常に高いと考えられます。機械設計は常に最新の技術を求められるものです。

そのため、機械設計エンジニアは基礎はもちろん、常に新しい知識を蓄える必要があります。さらに技術や実務など勉強することがたくさんあるため、それなりの覚悟と気合が必要になるでしょう。

機械設計の需要が高まっている4つの理由

機械設計のニーズが高まっている理由は以下のとおりです。

• 認知度が低い
• 少子高齢化による人手不足
• 作業の効率向上
• DXの推進

それぞれの理由を詳しく説明します。

認知度が低い

機械設計エンジニアはシステムエンジニアに比べると認知度があまり高くなく、人手が集まりにくい傾向にあります。そのため、仕事としての需要は高いのにもかかわらず、機械設計を目指す人が少なく、さらなる人手不足によって機械設計の需要が高まっていると考えられます。

また、機械設計という仕事の存在を知っていたとしても、高度な技術や知識が必要な職種なため、簡単に目指せないのも人手不足の一因かもしれません。

少子高齢化による人手不足

現在の日本の少子高齢化にともない、新卒の数は年々減少しており、若い労働力が不足しています。どの業界でも人手が不足している傾向にあり、機械設計も例外ではありません。

仕事としてのニーズが高いことから求人数は多い一方で、そもそもの新卒の数が減っているため、人手不足でより一層需要が高まっています。そのため、転職者を歓迎している企業が数多く存在すると考えられ、転職しやすい状況ではあります。

作業の効率向上

少子高齢化によってどの業界でも人手不足が嘆かれ、少ない人数でも多くの仕事をこなせるようになるよう、社会全体で作業効率の向上が目指されています。たとえば、在庫管理を自動化したり必要なデータをAIが収集したりするなど、作業の自動化を行うことで、業務の効率化を進めています。

それらの自動化するためのツールやソフトを作るには機械設計が欠かせず、機械設計の需要が高まる一因となっています。

DXの推進

政府によるDX推進も機械設計エンジニアの需要が高まっている理由の1つです。経済産業省では、DXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
引用：DXリテラシー基準｜経済労働省

たとえば近年のIT技術の進化では、従来タクシーを利用するには電話したり、道で手を上げて止めたりなどが必要でしたが、現在はネットやアプリ上でタクシーを呼んだり所在地を確認したりできるようになりました。

ほかにも、交通ICカードのモバイル化や新幹線のチケットがオンライン上で購入できるようになるなど、私たちが日常で使用するサービスの利便化が進んでいます。DX化にともない今後一層、機械設計の需要が高まっていくと考えられるのです。

機械設計エンジニアとは？仕事内容や年収を説明

「機械の開発に携わることはイメージできても、どのような業務を行うのかまでは想像しにくい」という方も多いのではないでしょうか。あらためて機械設計の具体的な業務内容や、やりがい、年収について説明します。

業務内容

機械が動く仕組みをつくることが機械設計の仕事です。機械とひと口に言っても、パソコンやスマートフォンなどの精密機器や冷蔵庫といった家電など、それぞれに対応した作業が必要なため業務は多岐にわたります。

基本的な流れとしては、以下のとおりです。

1. 製造する機械の概要を決める
2. CADソフトを使用して設計図を作成する
3. 問題やバグの修正を行う
4. 製造用の設計図を作成する

それぞれの工程を簡単に説明します。

①製造する機械の概要を決める

まずは、どのような機械を製造するか概要を決めます。その概要に沿って、機械に使用する素材や部品、どのような技術を利用するか案を出していきます。

②CADソフトを使用して設計図を作成する

次に、決定した概要に沿ってコンピュータでCADソフトを使用して設計図を作成します。設計図ができたら、CAEソフトを使ってコンピュータ内でシミュレーションをしたり、CAMソフトで仮想製造をしたりするなどの仮想試作を行い、製品として問題がないか確認します。

③問題やバグの修正を行う

その後、シミュレーションや設計を進める最中に出てきた問題やバグを修正します。技術的なことだけではなく、「予算がオーバーしていないか」「環境に配慮できているか」など、設計した製品が実現可能かも再確認が必要です。

④製造用の設計図を作成する

製品が完成したら、最後に工場で製造するために必要な寸法や製造方法、素材などを記した設計図を作成して業務は完了となります。

設計する機械の種類

機械設計エンジニアが設計する種類はさまざまです。

一例としては以下のとおりです。

• 部品やパーツ類：電池、マイクロチップ、電球など
• 電化製品：テレビ、電子レンジ、スマートフォンなど
• 乗り物：自動車、バス、電車など
• 医療機器：人工呼吸器、MRI、内視鏡など

やりがい

機械設計エンジニアのやりがいはなんと言っても、自分が設計に携わった機械が人のために役に立つことです。自分の技術で作った機械が実際に世の中に出て、人々の暮らしに貢献している様子を見られるのは、大きな満足感につながります。

また、設計には高度なスキルや知識が必要で多くのことを勉強しなければいけませんが、自分が学んだことを実践に活かせたり、設計を行う中でスキルアップできたりすることは、機械設計ならではのやりがいでしょう。

このように、仕事を通して成長できる点も機械設計の魅力と言えます。

年収

転職の際に重視する情報として、年収をあげる方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、令和4年度の機械開発技術者の平均年収は606.2万円となっています。

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」の結果では、全体の平均年収は458万円となっているため、機械設計エンジニアは一般的な年収よりも高いことがわかります。

資格

資格を取得していなくても、機械設計エンジニアにはなれます。とはいえ、資格を取得することは決して無駄ではなく、機械設計エンジニアとしての選択肢や可能性の幅を広げられるでしょう。

機械設計エンジニアに関する資格として、以下のようなものが挙げられます。

• CAD利用技術者試験
• CAD実務キャリア認定
• 機械設計技術者試験
• 技能検定（機械プラント製図）
• 技術士（機械）

働きながら、興味のある分野の資格を取得するとよいでしょう。

機械設計エンジニアに向いている人の特徴

機械設計エンジニアに向いている人の特徴は以下のとおりです。

• モノづくりが好き
• コミュニケーション力や協調性がある
• 地道な作業が苦にならない
• 学ぶのが好き
• PC作業が得意

それぞれの特徴を詳しく説明します。

モノづくりが好き

機械設計は機械を生み出す仕事なので、モノづくりが好きという気持ちが強い人に向いているでしょう。プラモデルづくりやDIYなど、ものを生み出すことが好きな人は機械設計の仕事にもやりがいを見つけやすく、地道な作業も乗り越えられるはずです。

自分が設計を手がけた製品が完成したときに得られる達成感や満足感は何ものにも変え難く、モノづくりが好きな人にはおすすめの職業です。

コミュニケーション力や協調性がある

機械設計は1人で作業するイメージがありますが、コミュニケーション力も必要です。設計作業自体は1人で行うことが多いですが、企画から製造までは多く人が携わっており、設計の前後の工程では人と協力して行う業務も発生します。

どのような機械を作るか先方と打ち合わせをしたり、機械の製造を行う工場と製造する機械が生産可能かを会議したりする際、相手の気持ちを汲み取る力や話をすり合わせるスキルはが必要となります。

1つの機械を共同で作り上げることもあるため、コミュニケーションが得意な人や協調性がある人も機械設計に向いているでしょう。

地道な作業が苦にならない

機械を設計する仕事というと派手な仕事のように思えますが、実際の機械設計の業務は設計図を書いたり仮想シミュレーションを繰り返したりと、地道な作業が多い仕事です。そのため、作業をコツコツ丁寧にできる人や地道な作業が苦にならない人は、機械設計に向いていると言えます。

機械設計はチームで業務を行うこともありますが、1人で作業に取り組む時間の方が多いため、集中力があり黙々と作業をこなせる人も向いているでしょう。

学ぶのが好き

機械やITの分野は進化が激しく、次々と新しい技術が誕生します。そのため1つの知識や技術を応用して使い続けるのではなく、新しい技術が誕生するたびに勉強しなければなりません。

また、設計する機械によって使用する技術も異なるため、幅広い知識を身につけることが求められます。新しい知識をインプットし続けなければならない職業と言っても過言ではないため、常に学ぶ姿勢が必要です。

学ぶことが好きな人や探究心がある人でないと、機械設計の仕事は苦になってしまうでしょう。

PC作業が得意な人

機械設計はプログラミングや製図など、ほとんどの作業をパソコンを使用して行います。長時間パソコンと向き合うため、パソコン作業が得意な人には向いている仕事形態です。
また設計にはシミュレーションソフトや製図ソフトなどさまざまなソフトを利用するため、パソコンの扱いに慣れている人だと初めて使うソフトでもすぐに対応でき、作業がスムーズに進められるでしょう。

機械設計に向いていない人の特徴

機械設計に向いていない人の特徴は以下のとおりです。

• 人と話すのにストレスを感じる
• PC作業が苦手な人
• 新しい知識を学ぶことに抵抗を感じる

それぞれの特徴を説明します。

人と話すのにストレスを感じる

機械設計エンジニアはパソコンを使って1人作業することが多いため、人と接することが苦手な人でも問題ないと思われがちです。しかし、実際はチームで機械を製作したり、どのような機械を作成するかクライアントと相談したりするなど、業務の中で人と接する機会が多くあります。

そのため、人と接することが苦手な人や人と話すのにストレスを感じる人が「機械設計なら1人で黙々と作業ができる」と期待して転職してしまうと、ギャップを感じてしまうかもしれません。

PC作業が苦手な人

機械設計エンジニアは、PCのソフトを使用して設計図の作成やプログラミングを行います。パソコンを使用しなければ仕事ができないため、パソコン作業が苦手な人は仕事自体が苦になってしまうかもしれません。

しかし、PCを使い続ければ動作に慣れることはできるため、PC初心者にチャンスがないわけではありません。設計ソフトなどを使用した経験がない場合は、自主的に勉強をしてパソコンの使い方に慣れておくとよいでしょう。

新しい知識を学ぶことに抵抗を感じる

機械設計エンジニアは新しい技術が次々に更新され、変化が激しい職種です。また機械によって必要な技術も異なるため、幅広い知識を身につける必要があります。

そのため、新しい知識を学ぶことに抵抗を感じる人には苦労が大きく、大変に感じてしまうかもしれません。

機械設計に転職するメリット

機械設計に転職するメリットは以下のとおりです。

• 年収が上がる
• やりがいを得られる
• 将来性がある

年収が上がる

厚生労働省の「職業情報提供サイト」では、令和4年度の機械開発技術者の平均年収は606.2万円と報告されています。国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」の結果では、全体の平均年収は458万円と報告されているため、比較すると械設計の年収は一般的な年収よりも高いことがわかります。

そのため、機械設計に転職することで現職よりも年収UPを見込める可能性があります。

また、どの機械を設計するかの分野によっても年収は変わります。自動車メーカーや上級機械エンジニアなどに転職できれば、より高い給与を目指せるでしょう。

やりがいを得られる

機械設計エンジニアは機械を作り上げる達成感や、自分が設計を担当した機械が実際に世の中で使われて人の役に立っている喜びを得られる、やりがいの大きい仕事です。

また、学んだ知識を実践に活かしながら機械をつくるため、仕事を行うなかで技術力の向上や経験値UPを目指せます。働きながらスキルアップできるため、より大きなプロジェクトで設計に挑戦したり独立を志したりするなど、自身のキャリアアップにつなげやすい点も大きな魅力です。

将来性がある

DX推進や業務の効率化には、IT技術やオンラインシステムの導入が欠かせません。そしてそれらのツールの開発に携わる機械設計は、デジタル化に必要不可欠で、重要な役割を担っています。

DX推進の動きは現在加速しており、機械設計の需要は増す一方です。今後も機械設計の需要が絶えることはないと考えられ、将来性があり活躍できる場も広い転職先と言えるでしょう。

機械設計エンジニアの転職を成功させるコツを紹介

機械設計エンジニアという仕事の需要は高まっていますが、未経験からの転職は簡単なことではありません。機械設計の転職を成功させるコツは以下のとおりです。

• 転職理由を明確にする
• 自己分析を行う

それぞれのコツを見ていきましょう。

転職理由を明確にする

まずは、転職理由を明確にしましょう。あいまいな理由で機械設計エンジニアに転職することはあまりおすすめできません。

というのも、機械設計エンジニアは常に新しい情報や知識を蓄えていく必要があり、忍耐力が必要な仕事です。そのため、転職理由があいまいだと入社しても早い時期に退職を選択してしまう可能性があります。

• なぜ自分は機械設計エンジニアに転職したいのか
• 転職して将来的にどのようなキャリアを歩んでいきたいのか

など、転職する前に一度イメージしておくとよいでしょう。

自己分析を行う

機械設計エンジニアに転職するうえで、自己分析を行うことはとても重要です。自分が得意だと思っている能力とは別に、もっと活躍できる能力や行動特性を持っているかもしれません。

自己分析の際に、友人や家族、お世話になっている会社の先輩や上司に自分の強み・弱みをそれぞれヒアリングしてみるのも1つの方法です。自分自身を十分に分析することで、志望動機や自己PRに書く言葉にも説得力が出てくるはずです

機械設計エンジニアの適性があるか確認したいなら、ミイダスの「可能性診断」

「モノづくりが好きだし、コミュニケーション力もあるから機械設計エンジニアに向いているはず！」と自分で思っていても、実は別の職業の適性が高かったり、別の能力が長けていたりするケースもあるでしょう。

機械設計エンジニアを目指す前に、ミイダスの可能性診断（コンピテンシー診断）で自分の適性を把握するのをおすすめします。可能性診断とは、ミイダスが用意した質問に回答することで、あなたのパーソナリティやストレス耐性などが分析できるサービスです。

パーソナリティの特徴は、以下9つの項目で評価されます。

1. ヴァイタリティ
2. 人当たり
3. チームワーク
4. 創造的思考力
5. 統率力
6. 状況適応力
7. 問題解決力
8. プレッシャー耐力
9. オーガナイズ能力

たとえばストレス耐性の項目には、以下のようなものがあります。

• 変化と混沌
• 突発への対処
• ハードスケジュール
• 戦略欠如
• 上下関係の厳しさ
• 評価されない
• 自主的にできない
• 意思決定に参画できない
• ルーチンワーク
• 難しい局面での決断

「なんとなく転職活動に踏み切れない」「自分の特性を知ってから転職活動を行いたい」という方はぜひミイダスの可能性診断をお試しください。

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自己分析を十分に行ったうえで、機械設計エンジニアに挑戦しよう

本記事では機械設計エンジニアという仕事の需要が高まっている理由や機械設計に転職するメリット、転職する際の注意点などについてご紹介しました。

少子高齢化による人手不足やDX推進によって、機械設計エンジニアの需要は高まっています。しかし、高度な技術を要するため、あいまいな理由で転職すると結果的に辞めるという選択をするおそれがあるでしょう。

まずは、機械設計エンジニアはどのような仕事をするのか十分に把握したうえで、自分自身は適性があるのか確認するのをおすすめします。ぜひ転職活動の際はミイダスの可能性診断を活用してみてくださいね。

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