現在、不動産業界で働いている方や、不動産業に興味を持っている方のなかには、個人で不動産の会社を経営したいと考える方も多いのではないでしょうか。 不動産の賃貸仲介は未経験者でも始めやすいため、独立して事務所を持ちたいと考える方におすすめです。

この記事では、不動産の賃貸仲介の仕事内容や、不動産業に向いている人について解説します。また、個人で不動産事業を始める際のポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産の賃貸仲介とはどんな仕事？

不動産の賃貸仲介とは、物件の所有者であるオーナーと入居を希望するテナントや個人間で仲介を行う仕事です。オーナーから預かった物件を入居希望者に紹介し、賃貸契約を結ぶことが主な業務です。

取り扱う物件には「自社所有のもの」と「他社所有のもの」があり、他社の物件を扱う場合は代理店として営業します。

賃貸契約が成立すると、仲介手数料が発生。最終的にオーナーと入居者の双方から仲介手数料を受け取ることで収入となります。 不動産の賃貸仲介は多くの人々の生活に直接的に関われるため、やりがいが大きい仕事です。

人々の住まいに関するニーズを理解し、最適な提案を行って信頼を得られることで仕事の満足度が高まります。

賃貸仲介の主な仕事内容

賃貸仲介の仕事内容にはどのようなものがあるのでしょうか。主な4つの業務について解説します。

物件情報の収集と管理

賃貸仲介の主な業務は、物件情報の収集と管理です。オーナーや管理会社から得た物件情報を、所在地、間取り、賃料、設備などの詳細に整理し、データとしてまとめます。

物件を貸し出すためには広告戦略を立案し、インターネットや各種広告媒体を利用して物件を宣伝し、入居希望者を募集します。預かった物件は価格変更、設備の修繕、入居状況の変化などの情報を入手し、常に最新の物件情報に更新しておくことも大切です。

顧客対応

賃貸仲介者は、入居希望者と物件オーナーの間でスムーズな取引を実現するための調整役です。入居希望者からの問い合わせに対応し、物件の詳細情報を提供します。

顧客の要望や条件を聞き取り、それをオーナーに伝えて賃料や契約条件を交渉し、双方が満足できる条件を見つけるために調整するのが仕事です。また、賃貸契約書の作成や必要書類の準備も重要な業務です。契約内容の説明や確認を行い、スムーズな契約締結をサポートします。

物件案内

入居希望者に対して物件の内覧を手配し、間取りや設備などの特徴を説明します。同時に、その物件のメリットや周辺環境について丁寧に説明することも必要です。

周辺環境の紹介では、近隣の交通アクセスや学校、病院、レストランなどの情報を提供し、住みやすさや利便性をアピールします。 物件の案内中は顧客の反応を観察し、その情報に基づいて適切な情報提供や質問対応を行うことも大切な仕事です。

契約業務

入居者が決定したら、契約業務を行います。まず、入居者と物件オーナーの間での賃貸契約書を作成します。契約書には賃料や契約期間、敷金・礼金の扱い、解約条件などが書かれています。

次に、入居者に必要な書類を提出してもらいます。これらの書類は契約書に添付するもので、契約条件を裏付けるために必要です。

また、物件オーナーに提出する書類も用意します。 入居者と物件オーナーの両方に契約書を提出して、お互いに内容を確認し納得したら契約完了です。必要に応じて契約条件を調整し、双方が納得できる形に修正を行います。

アフターフォロー

契約後のアフターフォローは、入居者の満足度向上に欠かせない業務です。入居者が物件に入居したあとも、生活やトラブルに関するサポートを提供します。

たとえば備え付け家電の保守点検や、隣近所トラブルの解決、家賃の支払いや契約更新の案内など、幅広いフォローを行います。賃貸仲介者は入居者のニーズや要望に対応し、入居者が安心して快適に生活できるよう、適切なサポートを提供するのが大切です。

不動産の賃貸仲介は個人でもできる？

賃貸仲介は個人での独立も可能です。公益財団法人不動産流通推進センターの「2023不動産業統計集」によると、従業員数が1〜4人の不動産業者は全産業の86.1％を占めています。

また、令和5年3月31日現在の宅地建物取引業者と宅地建物取引士に係る統計によれば、法人は116,230業者に対して、個人業者は13,374業者です。これらのデータから見ても、不動産業は個人や少人数でも経営できる可能性があるといえるでしょう。

不動産の賃貸仲介が向いている人

不動産業賃貸仲介はどのような人が向いているのでしょうか。不動産業において必須の資格はありませんが、以下のような人が向いているといえます。

コミュニケーション能力が高い

不動産賃貸仲介の業務に適しているのは、高いコミュニケーション能力を持つ人です。この仕事では、物件の所有者や入居希望者と円滑に対話を重ね、双方の要望やニーズを理解し調整する必要があります。

さらに、契約の交渉や問題解決にも積極的なアプローチが求められます。顧客と良好な関係を築き、信頼を構築するためにもコミュニケーションは不可欠です。

営業力がある

営業力がある人も不動産賃貸仲介に向いています。不動産賃貸仲介は、物件の提案や契約の取り決めなど営業活動が主な業務です。

営業力を持つ人は顧客との信頼関係を築きながら、物件の貸し出しや契約締結をスムーズに進められます。また、積極的に新たな顧客を獲得し、営業戦略を展開することで業績を向上させられるでしょう。

柔軟性がある

柔軟性がある人は、さまざまな状況や顧客のニーズに対応しやすいです。不動産市場は常に変化しており、予期せぬ状況に出くわしたり、トラブルが発生することもあります。

柔軟性を持って対処することで、問題解決や顧客満足度の向上につながります。また、柔軟性を発揮して新たな営業戦略やアプローチ方法を考えることで、業績の向上にもつながるでしょう。

細かい作業が得意

不動産賃貸仲介業界では物件情報の整理や契約書の作成など、細かい作業が多くあります。そのため、細かい事務作業が得意な人は業務を効率的にこなせるでしょう。

契約書の作成には正確さと丁寧さが求められます。物件情報を正確に整理し、顧客に適切な情報提供を行うことは信頼を築くうえで重要です。

地域や物件に関する知識が豊富

不動産賃貸仲介では、地域や物件に関する充実した知識が必要です。地域の特性や需要動向、物件の立地条件や周辺環境などを理解することは、顧客に適切な提案をするうえで欠かせません。

地域や物件に関する幅広い知識を持っている人は顧客からの信頼を得やすく、仲介業務を円滑に進められます。常に最新の情報を取り入れ、地域や物件についての知識を積極的に学ぶ姿勢が大切です。

個人で不動産の賃貸仲介を始めるメリット

個人で賃貸仲介を始める際は自己の責任が重くなりますが、そのやりがいは大きいです。個人で賃貸仲介を始めるメリットを紹介します。

仕事内容や進行を自由に決められる

個人で賃貸仲介を始める際のメリットのひとつは、仕事内容や進行を自由に決められることです。自分自身が経営者で従業員がいないため、ビジネスの方向性や進行方法を自ら決定できます。

たとえば特定の分野に特化してサービスを提供したり、顧客との関係性を活かしてニーズに応えたりなど、自身の得意なスタイルに合わせて業務を進めることが可能です。

業務をスピーディーにできる

個人の賃貸仲介は、業務をスピーディーに進められるのもメリットです。小規模な組織であるため、意思決定を自分で迅速に行えます。

社内でのやりとりを省略できるため、顧客とのコミュニケーションもスムーズに行えるでしょう。素早い対応は顧客満足度を高め、ビジネスの効率性を向上できます。

低コストで始められる

個人で賃貸仲介は、比較的低いコストで始められるのもメリットです。大規模な不動産会社のような高額な事業資金や大きな設備が必要なく、自宅やオフィスからでも始められるでしょう。

低コストで始められる事業は、新規参入者や個人事業主にとっても魅力的です。初期投資を最小限に抑えながら事業を立ち上げ、収益を安定させるためまでのリスクを軽減できます。

収入の上限がなくなる

個人で賃貸仲介を行う際のメリットのひとつは、収入に上限がないことです。個人の賃貸仲介者は自らの営業力やサービス提供能力によって、契約数や物件の質を上げて収入を増やせます。

大手不動産会社のような組織に縛られることないので、自身の努力次第で収入を自由に伸ばすことが可能です。自分のなかで目標を設定することで、ビジネスの拡大も実現できます。

ビジネス関係の構築しやすい

個人の賃貸仲介者は組織が小規模であるため、顧客とのコミュニケーションがより密接に行われ、信頼関係を築きやすくなります。

そのうえ個人の賃貸仲介者は自身のビジネススタイルや、提供するサービスを柔軟に調整できるため顧客のニーズにも応えやすいです。 顧客との長期的な信頼関係を築ければ、ビジネスの成長が期待できるでしょう。

個人で不動産の賃貸仲介を成功させるポイント

個人で賃貸仲介を成功させるには、いくつかの注意点があります。主な失敗の原因を踏まえて、成功へのポイントを解説します。

市場調査とニーズを把握する

個人賃貸仲介を成功させるためのポイントのひとつは、市場調査と顧客ニーズの把握です。市場調査を行うことで地域の需要やトレンドを把握し、顧客が求める条件や優先順位を理解できます。

また、顧客ニーズの把握も重要です。顧客が求める条件や希望する設備、家賃範囲などを正確に把握し、それに適した物件を提案することが大切。

顧客とのコミュニケーションを通じてニーズや要望を丁寧にヒアリングし、その情報を元に最適な物件を紹介します。 適切な物件の選定や提案ができることで、顧客満足度の向上につながるでしょう。

不動産に関する知識とスキルアップ

個人の賃貸仲介で必要なことは、不動産に関する基礎知識を身につけることです。不動産取引の基本的な仕組みや契約の要件、物件評価の方法などについて理解を深めます。

不動産市場は常に変化しており、規制や法律も頻繁に更新されます。そのため、専門知識やスキルを継続的に向上させることが不可欠です。

さらに、営業スキルや顧客対応力も欠かせません。物件の魅力を的確に伝えたり、顧客やオーナーとのスムーズに取引を行うためには、交渉力やトラブル対応能力を向上させていきましょう。

他の業者との差別化を図る

個人の賃貸仲介を成功させるためには、他の業者との差別化が必要です。不動産市場の競争が激しいなか、独自の強みや顧客サポートの差別化が求められます。

たとえば特定の市場に特化したサービス提供や、顧客への迅速な対応など、顧客満足度向上の取り組みが挙げられるでしょう。 また、効果的なマーケティング戦略を展開し、自社の物件をアピールすることも欠かせません。

顧客との信頼を築くためには、適切な物件の選定や契約書の作成、トラブルに遭遇したときの迅速な解決力が必要です。

ファンを作る

個人賃貸仲介の成功には、自身のファンを作るのが成功の秘訣です。顧客やクライアントが、提供するサービスや仕事に満足することでリピーターになったり、口コミで他の人に紹介してもらえたりすることがあります。

そのためには、丁寧で親切な対応を心がけましょう。顧客やクライアントとのコミュニケーションを積極的にとり、彼らの要望に親身となって耳を傾けることで信頼関係を築けます。

自身のファンを増やすことで、口コミやリピート利用などの自然な形でビジネスの成長につなげられるでしょう。

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