長時間労働、サービス残業……。
飲食業界や小売業界の一部では、過酷な労働環境を従業員に強いる時期がありました。
やがてネットを中心としたマスメディアが問題視するようになると、世間からブラック企業とバッシングされたものです。
飲食業界や小売業界はその後、自助努力を行い、労働者の働きやすい環境づくりに取り組んできたといえます。
今回は、ミイダス マガジン 宛に調査依頼のREQUESTがありましたので、調査結果を報告させていただきます。
「現在専門商社の営業職を行っているのですが、経験のないフード業界からのスカウトが届いています。フードって残業が多いイメージなのですが、子供が生まれたばかりなので、60〜100時間残業するような企業でしたらなるべく転職は避けたいと思っています。調べて欲しいです。」
かしこまりました。飲食・小売業界の実態はどうなのでしょうか。業界で働く方々を対象に、残業時間に関する調査をしてみました。
飲食業・小売業の平均残業時間は?
上記の一覧表はミイダス利用して転職希望者のサーチを行っている飲食業界または小売業界の企業における、残業時間を平均した数値です。
月間の平均残業時間が50時間を超えている業態は存在せず、45.26時間のカフェ/レストランや46.67時間のテイクアウト/デリバリー専門(外食)が最長時間を記録しました。
「デリバリーは交通状況や天候に左右されることが多い仕事なので、時間が読めません。早く終わるときと、長い残業になるときがあって極端なんです」
そう語るのは外食デリバリー業で働き始めて4年が過ぎた27歳の男性。日々の状況によって仕事の終わり時間が違うのは、カフェ/レストラン勤務も同じ。外食産業で働く者の宿命といえるでしょう。しかしながらメーカー、商社、IT、医療、不動産などの他業界と比べて特別残業が長いということは無いようで、自助努力の成果が見受けられます。
居酒屋/バーは39.29時間と40時間を下回る結果に。
ランチ経営をしている飲食店や24時間営業など、店舗によって出勤時間こそ異なるものの、1日の所定労働時間が7〜8時間、残業時間が40時間未満だということは1日あたりの残業時間は1〜2時間ということになります。意外でしたでしょうか。
小売業界においてはさらに残業時間が少なく、25〜30時間がほとんど。
食品小売が36時間と一番長く、続いてコンビニ、百貨店、スポーツ用品小売が35時間という結果が出ました。
いかがでしたでしょうか。
こういった業界は残業時間が多いといった認知は皆さんの中にもあるでしょうし、そのイメージは世間からは払拭しきれていません。
しかしながら、統計データを出した通り、平均すれば他業態の残業時間の実態と変わらない結果が出ています。
他人が驚かれるような残業実態でご就業されていらっしゃる方は一部であり、転職先の労働環境は異なる可能性が高いかもしれません。
飲食業界・小売業界は少しずつ変わりつつあるようです。ぜひ転職の際の参考にしてみてください。