今回、ミイダス マガジンに相談を持ちかけてくれたのは、30代前半の営業職の方。現在、前向きに転職を考え始め、実行に移しているそうです。
「営業という仕事は、自分に向いていると思っているんです。接客が苦にならず、成績も常に上位。最近は部下もできて、指導する立場にもなって充実しています。そうなると欲が出てきて、もっといい会社はないかなと転職先を探しているところです。面接には数回しか行ったことはなく、採用はされませんでした。今の日本社会は人手不足に陥っているというので、もっと簡単に転職できると思っていたのですが。なぜなのでしょう? 営業職の転職事情も織り交ぜて、どんなことでも構いませんので教えていただけませんか」
了解しました。リクエストにお応えして、営業職の就労人口と転職状況に関するデータをもとに解説いたします。
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営業職の就労人口推移について
人数単位:万人
出典:「平成28年労働力調査結果」(総務省統計局)を加工して作成
国内の労働者数は、2016 年平均で 6440 万人。そのうち営業職(販売従事者)は約880万人を占めています。労働者数の10%以上の人が営業職として働いていることが見て取ることができます。ただし、営業職の就労人口は年々減少傾向に。2010年と比較すると約マイナス30万人というデータが物語っています。2011年に一時的に就労人口の減少が起きていますが、原因として自然災害をきっかけとした失業と不況によるものかと考えられます。
営業職の減少を続ける大きな要因は、流通の変化とそれに伴う合理化。また、インターネットの普及以降、飛び込みやテレアポに代表されるマンパワーによるアウトバウンド型の営業から、営業側の都合を押しつけないインバウンド型のスタイルに変化していることも理由のひとつに挙げられます。
これからの営業は、このインバウンド型のスタイルが重要な鍵を握るのでは。実際、営業職の業務効率を上げるための営業事務職の増加や訪問は行わずに電話やテレビ電話を使ったインサイドセールスという新しい営業スタイルも確立されました。
就労状況からみる営業職への転職
※ミイダス 調べ
営業職の労働人口自体は減っているものの、就労人口数の多さからどんな企業にとってもニーズの高い職種であることには間違いありません。いつでも有望な新しい人材が求められています。営業職の71%は転職しても営業を選ぶことからも、魅力の大きい職種であることがよくわかります。
年収も成果変動や年功序列まで様々。1%未満ではありますが、1000万円の年収を超えるケースも。年齢が若いうちであれば、異業種への転職も積極的に行われているようです。営業職はコミュニケーションという汎用的なスキルが根底にあるため、異業界で活躍できる機会が多いのも特徴です。
ただし、営業職の役割は年々変わりつつあります。オックスフォード大学が行った調査では2020年に消えてなくなる職業の中に”訪問型営業”があげられました。確かに、単純なルート営業や闇雲な訪問販売は全産業において減少傾向にあるかもしれません。コンサルティングやソリューションを伴った業務へシフトしていくことが予想されています。異業種にも積極的にチャレンジし、知見を広げて顧客への引き出しを多く持つことが、キャリアアップへの近道なのかもしれませんね。
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