働き方の多様化が進むなかで、サテライトオフィスを導入する企業が増加しています。

転職を考えている方のなかには、サテライトオフィス勤務に興味がある人もいるでしょう。しかし、サテライトオフィスで働く具体的なメリットや、どんな人材が適しているかはあまり知らないという方も多いはずです。

この記事ではサテライトオフィスに関する基本情報から注目を集めている理由、サテライトオフィスで働くメリットについて解説します。

サテライトオフィスとは？

サテライトオフィスは、企業や組織の中心拠点から離れた場所に設けられた小規模なオフィスのことです。シェアオフィス、コワーキングスペースなども同様のコンセプトで、本社とは異なる場所に位置し、少人数で勤務できます。

従業員はサテライトオフィスで本社と同じ業務を行えるため、本社への通勤が難しい場合など、柔軟な働き方の選択が可能です。政府の働き方改革とも密接に結びついており、サテライトオフィスを導入する企業は年々増加しています。

サテライトオフィス・支社・営業所の違い

サテライトオフィス、支社、営業所の違いは、それぞれの設置目的にあります。

支社や営業所は、特定の地域でしかできない業務を行うためのオフィスです。その地域に特化した業務や役割を担うために配属される従業員は、支社や営業所に出社して働くことを求められます。

一方、サテライトオフィスは従業員の柔軟な働き方を実現するのが目的です。従業員が本社以外の場所でも業務を行えるため、サテライトオフィスに出社する必要がない場合はリモートワークが可能です。

従業員は自宅や好きな場所からのリモートワークや、サテライトオフィスでの勤務など、自分の選択した働き方ができます。

サテライトオフィスの導入率と主な業界

国土交通省の「令和4年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用型就業者のテレワーカー（雇用型テレワーカー）の割合は、全国で 24.8％で、前年比1.3 ポイント減でした。

また、総務省が発表した令和5年の「地域公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果」によると、導入しているテレワークの形態で、サテライトオフィスは23.4％と約4分の1の団体が取り組んでいることがわかります。

参考：令和4年度テレワーク人口実態調査
参考：地域公共団体におけるテレワークの取組状況調査結

業種別では、総務省が発表した平成29年の『「サテライトオフィス」設置に係る民間企業等のニーズ調査』によると、もっとも多いのはサービス業で44.9％、続いて、卸売業・小売業等28.7％、製造業15.4％でした。

参考：「サテライトオフィス」設置に係る民間企業等のニーズ調査（平成29年4月版）

サテライトオフィスの種類とそれぞれのメリット

サテライトオフィスは企業の事業内容や規模、および設置目的に応じ、主に3つのタイプに分類されます。転職を考える際には、それぞれのサテライトオフィスの特性を把握しておくと便利です。

都市型サテライトオフィス

都市型サテライトオフィスは、従業員が本社や主要拠点から離れていても、都市部の中心地で業務を行えるようにするために設けられます。

人口が集中している都市部にあるため、交通の利便性が高くアクセスしやすいのがメリットです。通勤時間を短縮できるため、働きやすさが向上します。

都市部での業務展開や顧客対応など、他社との業務を円滑に進められるのもメリットです。

郊外型サテライトオフィス

郊外型サテライトオフィスは、都市部から離れた郊外のベッドタウンなどに設けられるタイプのオフィスです。都市部でのオフィス探しや交通渋滞から解放され、従業員はより静かで、自然豊かな環境で仕事ができるようになります。

郊外型サテライスオフィスのメリットは、通勤時間を短縮できるので、仕事と育児・介護の両立のような従業員のワークライフバランスを実現できることです。

地方型サテライトオフィス

地方型サテライトオフィスは、都市部から離れた地方地域に設置されるタイプのオフィスです。地方でビジネスを展開する企業が、従業員による都市部への移動を減らし、効率的に業務を行うために設置します。

地方型サテライトオフィスのメリットは、地域の人々が地元に定着しやすくなり、地方の活性化や人口流出の抑制に役立つことです。また、地方での生活や地域の魅力を再発見する機会を提供する目的としても設置されます。

サテライトオフィスが注目される5つの理由

サテライトオフィスは前からありますが、昨今、注目され始めているのはなぜでしょうか。サテライトオフィスが注目される5つの理由を解説します。

1.働き方の多様化

働き方改革が進むなか、オフィス勤務に限らず在宅勤務や地方からのリモートワークなど、多様な働き方が広がっています。サテライトオフィスは、そのような変化に対応するひとつの手段として注目を集めており、従業員がオフィス以外でも効率的に業務を行える環境を提供して柔軟な働き方を実現します。

たとえば、地方に移住したい従業員や地方在住のまま都市部の企業で働きたい従業員は、サテライトオフィスを活用すれば地方に暮らしつつ、都市部の企業で働けるのです。

2.リモートワークによる地方移住の広がり

リモートワークの普及に伴って地方移住を検討する人が増えていることも、サテライトオフィスが注目される背景のひとつです。リモートワークや在宅勤務の導入により、従業員は地方に住みながら都市部の企業で働くことができ、オフィスへの通勤も不要になりました。

働き方の選択肢が広がったことで新たな働き方が浸透し、地域移住の推奨や地域の活性化にもつながっています。

3.コスト削減と生産性向上

サテライトオフィスの導入は、企業にとってコスト削減と生産性向上の両面でも注目を集めています。サテライトオフィスを設置することで従業員の通勤時間が短縮され、通勤コストや時間の節約、オフィススペースの賃貸料などが削減できるようになりました。

さらに柔軟な働き方が促進されることで、生産性や業務効率、企業全体の業績も向上が期待されることもメリットといえるでしょう。

4.遠隔操作できるシステムやツールの拡大

サテライトオフィスが注目を浴びているのは、遠隔地から業務を行えるシステムやツールが普及したことも一因といえるでしょう。以前は本社での勤務や取引先への出張が必要でしたが、現在はWeb会議などで遠隔地からもコミュニケーションをとれるようになりました。

サテライトオフィスを設置することで業務をスムーズに進められるため、従業員はリモートワークなど自由な働き方を選択できるようになったのです。

5.地方創生や地方活性化への取り組み

総務省は地方での雇用創出を推進する取り組みとして、サテライトオフィスに注目しています。地方にサテライトオフィスを設置することで都心部への人口集中を緩和し、地方の雇用が増加することが期待されるからです。

この取り組みは、地方の人材が地元で働く機会を増やし、地域経済の活性化に役立ちます。また、新たなビジネスや活動拠点の創出が促進され、地域全体の経済成長につながるのもメリットのひとつです。

サテライトオフィスに勤務するメリット

サテライトオフィスが注目を集めていますが、従業員にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。サテライトオフィスへの勤務がおすすめの理由を解説します。

1.通勤時間の短縮

サテライトオフィス勤務は、通勤時間を短縮できるのがメリットです。毎日会社へ通う必要がないため、朝と夕方の移動時間を短縮でき、日常のストレスや疲労を軽減できます。

通勤時間の短縮により、仕事や趣味、家族との時間など、自分の時間を有効に活用できます。また、通勤に伴う費用を節約できるのもメリットです。

2.渋滞やラッシュなど混雑の回避

渋滞やラッシュアワーなどの混雑を回避できるのも、サテライトオフィス勤務のメリットです。通勤が不要なため、交通渋滞や電車の遅延などによる遅刻リスクが低くなります。

また、通勤時に電車の遅延や運休などが発生すると、多くの社員が影響を受ける可能性がありますが、サテライトオフィス勤務を導入することでそのようなトラブルの回避が可能です。

3.環境や気候などの影響を分散

サテライトオフィス勤務のメリットのひとつは、環境や気候などの影響を分散できることです。本社のみならず複数の場所にオフィスを持つことで、災害や天候の影響を受けにくくなります。

たとえば、本社がある都市で災害が起こった場合でも、他の地域にサテライトオフィスがあれば、業務の継続が可能です。地域によって気候条件が異なるため、特定の地域での災害や天候によって出るリスクを減らせます。

サテライトオフィス勤務に向いているのはこんな人

次に、サテライトオフィス勤務に向いている人物の特徴について解説します。自分に当てはまると感じたら、サテライトオフィスを導入している企業への転職を検討してみるのもよいでしょう。

1.ワークライフバランスを整えたい人

サテライトオフィス勤務は、ワークライフバランスを整えたい人におすすめです。通勤時間の削減や柔軟な勤務時間設定によって、仕事とプライベートの両立を叶えます。

オフィスに行かなくても仕事ができるので、自宅や近所のカフェなど、自分にとって快適な場所で業務が可能です。自分のペースで働けるため、通勤時間やストレスを削減し、家族や趣味などへの時間を確保できるでしょう。

2.リモートワーク可能な職種の人

サテライトオフィス勤務では、パソコンを使って作業したり、電話やオンライン会議でのコミュニケーションなどの業務が多いです。そのため、リモートワークが可能な職種の人にとっては、サテライトオフィスでの勤務はおすすめです。

リモートワークは毎日会社に通う必要がないので柔軟な働き方を実現し、自分に最適な環境で仕事を行えるようになるでしょう。

3.いろいろな場所に住みながら仕事がしたい人

サテライトオフィス勤務は、いろいろな場所に住みながら仕事がしたい人にも最適です。従業員が本社や主要拠点に拘束される必要がないため、リモートで業務を行えます。

そのため、従業員は自分の好きな場所や生活スタイルに応じて、住む場所を選択できるように。都市部や郊外、地方などさまざまな場所で暮らしながら仕事をすることが可能です。

4.地方移住をしている／将来的に考えている人

地方移住をしている、または将来的に地方に住みたいと考えている人にとって、サテライトオフィス勤務は魅力です。サテライトオフィス勤務をすることで地方での生活を楽しみながら、都市部の企業でキャリアを築けます。

地方移住を希望する人にとっては地域の魅力や豊かな自然環境を満喫しながら、より充実した生活を実現できるでしょう。

5.二拠点生活を実現したい人

サテライトオフィス勤務は都心部と地方、または異なる都市間など、複数の場所で生活したい人にもおすすめです。サテライトオフィス勤務を選択することで都市部と地方といった、二拠点での生活を楽しめます。

会社に所属しながら二拠点生活を実現するためには、移動時間がかかるなど多くの課題がありますが、サテライトオフィス勤務なら場所や時間に縛られずに仕事ができます。生活スタイルに合わせて柔軟な働き方ができるでしょう。

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