シェフや料理人は離職率が高い職業といわれています。シェフから異業種への転職を考えたことがある人は、「料理の経験だけで、他の職種に転身できるのか」といった不安が頭をよぎるかもしれません。

シェフのスキルを活かせる転職先には、どのようなものがあるのでしょうか。この記事では、シェフの転職におすすめの仕事や、シェフからキャリアアップできる転職先の探し方について解説します。

飲食・サービス業の転職率は「50％超え」と高い

厚生労働省の新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況について取りまとめた資料によると、宿泊業および飲食サービス業で雇用されてから3年以内に離職する割合は、高卒者が61.1％、大卒者が51.1％と、最も高い水準であることが報告されています。

なぜ、飲食・サービスの離職率はこれほどまでに高いのでしょうか。次の項目で解説します。

シェフの転職率が高くなる理由6つ

シェフの転職率が高くなる理由にはいくつかの要因があります。以下にその主な理由を6つ挙げてみました。

1．修行期間が長い

料理の分野では「10年の修行で1人前」とされ、プロのシェフになるには相当な時間と努力が必要とされます。10年間の経験を積むことで業務に慣れていきますが、同時に仕事の厳しさも増していきます。

加えて年齢を重ねるごとに身体への負担が増えるため、転職を検討する人が増加するようです。また、長期の修行がモチベーションの低下を招き、結果的に新たな仕事を求めて他のキャリアへの転職を考える人もいます。

2．休みが少ない

通常、料理人の仕事は休みが少ないのが一般的です。飲食店は土日や繁忙期に稼働する必要があり、そのためビジネスパーソンのように、週休2日の休みを確保することが難しい状況にあります。

また、休日に休めないことから長期の休暇を取ることが難しいとされています。休みが少ないことが原因で、家族や友人との時間が合わず、プライベートの時間を確保しにくくなる人も多いです。こうした事情から、ワークライフバランスを求めて転職を検討する料理人が増加するようです。

3．長時間労働になりやすい

飲食店のシェフは、早朝から夜遅くまでの長時間の労働が求められます。シェフの1日のスケジュールは朝8時頃に出勤し、その日の仕込みを始めます。ランチの営業が終わるとわずかな休憩があるかもしれませんが、その間もディナーの準備に追われるのが一般的です。

ディナータイムの終了は店によって異なりますが、帰宅するのは通常21時から22時頃です。そのため、シェフの労働時間は1日に12時間から14時間ほどであり、長時間労働の厳しさから転職を検討する人が増えていると考えられます。

4．上下関係が厳しい

シェフが転職を検討する理由のひとつとして、上下の階層構造が厳格であることが挙げられます。料理業界では、料理スタッフのなかに階級が存在し、上司から厳しい指導を受けるのが一般的です。

なかにはパワハラに該当する場合もあり、これにより従業員は長期間にわたりストレスを感じ、モチベーションが低下してしまうケースも少なくありません。上下関係があることで仕事が厳しく感じられ、転職を検討するという人も多いといいます。

5．給料が低い

シェフが転職を考える理由には、給料が低いことも挙げられます。令和４年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、料理人（調理師）の平均年収は339万円ほどであり、日本全体の平均年収443万円と比較しても非常に低い水準です。

経験やスキルによって給与が変動することもあるものの、条件の良い給与や福利厚生を求めて別の職種に転職する人が多いようです。

6．昇給の条件がはっきりしていない

昇給の条件が不透明であることも、シェフの転職理由に挙げられます。通常のビジネスパーソンであれば、勤務年数や役職に応じた給与の基準が明確なので、これに基づいて結婚や住宅購入などの人生の計画が立てやすいです。

シェフの場合はこれが難しく、自身のキャリアや給与の見通しが把握しにくい特徴があります。そのため、明確な昇給制度や実績に基づく評価を受けられる環境を求めて、転職するケースが一般的です。

シェフの転職先におすすめの仕事

シェフから異業種への転職を考えている人は少なくありませんが、飲食業界で培った経験を活かせる職種にはどのようなものがあるのでしょうか。シェフの転職先におすすめの仕事をご紹介します。

IT・Web関連の仕事

IT分野の急速な進展に伴い、多くのIT業界ではエンジニアの不足が深刻化しています。グルメ情報サイトの開発や、食品を扱うECサイトのライターなど、IT・Web関連の職種でもシェフの経験を効果的に活かせます。

食事は人々の生活に不可欠な要素であり、その重要性から食事に関連したIT・Webの職種は需要が高いです。IT業界は未経験者でも歓迎する企業が増えており、しっかりとした研修プログラムが提供されているため、安心して転職できるでしょう。

食品業界

食品業界への転職はシェフの技術や経験を活かしながら、新たなキャリアを築けるのでおすすめです。たとえば、食品メーカーの研究開発部では、食品サービスの管理や運営に関する調理スキルが求められます。

食品業界の専門知識を活かして、企業やレストランに対してアドバイスやコンサルティングを提供する食品コンサルタントや、食品の企画・制作から販売までをトータルで手がけるフードプロデューサーなど食に関わる職場で活躍が期待できるでしょう。

同業種

調理師の仕事は好きだけど、労働環境や待遇に不満を感じる方は、同業他社への転職が良い選択かもしれません。

ただし、飲食サービス業は全体的に給与水準が低いため、好待遇の求人は限られている可能性があります。理想的な労働条件を見つけるためには、転職サイトを活用して効率的に探すのがおすすめです。

接客・販売業

接客・販売業では、お客様へのサービスが極めて重要です。笑顔で接客するなど親しみやすい対応は、お客様の満足度やリピート率に大きな影響を及ぼします。

顧客満足度を上げる接客は飲食業と多くの共通点があり、理解しやすい言葉遣いやお客様のニーズに素早くかつ適切に対応できる能力が要求されています。そのため、シェフから接客・販売業に転職した際は、スムーズに適応できるでしょう。

未経験採用が多い職種

未経験者採用が多い営業や事務などの職種は、専門的なスキルが必要ないため、異業種からの転職がしやすいです。新しい業界や職種に挑戦することはこれまでの経験を活かしながら、自分の可能性を広げる機会となります。

また、未経験者でも採用される仕事はその分野を基礎から学べる環境が整っているため、新しいスキルや知識を身につけながら着実に成長できます。

シェフがキャリアアップできる転職先の探し方

転職を通じてシェフがキャリアアップする方法は、大きく分けて3つあります。これらの方法について詳しく紹介していきます。

1．技術力の高い店舗に転職する

ひとつ目の方法は、より技術力の高い飲食店に転職することです。例として、通常の街のレストランから本格的なイタリア料理を提供するホテルのレストランに移るなどが挙げられます。

ホテルのレストランに転職するには本格的な修行が必要となりますが、そこでしか身につけられない高度なスキルを習得できるでしょう。将来的にキャリアを向上させたい方は最初に基礎を固め、その後に転職する道もおすすめです。

2．役職が上がる店舗を選ぶ

ふたつ目の方法は、役職が昇進する可能性の高い店舗を選んで転職することです。高級店や評価の高いレストランでの勤務は、シェフのスキル向上や新しい調理法、メニュー開発の経験を積む機会となります。

実績を積むことで、これまで経験のなかったスタッフの管理や新メニューの開発など、より責任のある業務が与えられるでしょう。将来的に独立を目指す方にとってのキャリアアップにも役立ちます。 いまよりも好条件の転職先を探すのであれば、転職アプリ「ミイダス」を活用するのもおすすめです。

3．異業種に挑戦する

最後の方法は、異なる業種にチャレンジすることです。これまでのキャリアを一新する決断が必要であり、ある程度の勇気が必要ですが、多くの人が幅広い知識やスキルを身につけるために挑戦しています。

シェフの経験を活かし、異なる業界で新たなキャリアに挑戦することで、自らのキャリアアップの向上につながるでしょう。また、シェフや異業種で雇用される以外にも、独立して自身のレストランや飲食事業を経営するのもひとつの方法です。

シェフが持つ転職で活かせるスキル

飲食店での経験しかないと、「未経験への転職は難しいのではないか」と感じる人も多いと思います。しかし、飲食業界で身につくスキルは他の業種でも十分に活かせる可能性があります。 どのようなスキルが他の分野でも高く評価されるのかをご紹介します。

チームワーク・協調性

シェフの業務は単に料理を作るだけでなく、店舗や厨房が一体となって1日の業務を成功させることが重要視されています。特にランチやディナータイムのピーク時は慌ただしくなり、従業員とのチームワークや協調性が欠かせません。

こうした忙しい状況を他のスタッフと共に乗り越えた経験は、転職時に強みとしてアピールできます。他の職種に転職しても、シェフ時代に培った協調性スキルは十分に発揮できるでしょう。

身だしなみやビジネスマナー

飲食業はお客様の前に立つ仕事なので、礼儀正しい態度や身だしなみ、丁寧な言葉遣いなど、場にふさわしい振る舞いが求められます。こうしたビジネスマナーは営業職や接客業はもちろんのこと、どの職種でも非常に役立ちます。

顧客との円滑なコミュニケーションは、どんな仕事においても信頼感を築くために欠かせません。ビジネスマナーのスキルは、飲食業で培われたものが他の職種でも活かせる可能性が高いです。

料理や食材の知識

食材や料理、調理に関する知識は、飲食業界の経験を通じて身につきます。このような専門知識は、食品関連の業界への転職において有利になるでしょう。

さらに、調理師免許や栄養士の資格を取得していれば、これらの資格を活かして料理教室や介護施設など、他のキャリアへの転職も可能です。自身のスキルや資格を活かせれば、飲食業以外の領域で新たなキャリアを築く道も開けるでしょう。

語学力

飲食店では、時折海外からのお客様を接客することがあります。特に東京、大阪、京都などの観光地では、訪日外国人客が多いため、外国語での接客スキルや異文化コミュニケーションの能力が重要とされます。

実際に外国語での接客経験があったり、接客向けに語学を学んだ経験があれば、その語学力を転職時のアピールポイントとして強調してみると良いでしょう。

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ミイダスを使って飲食業界からの転職を実現した事例

40代で飲食業界から、未経験の事務職へ転職した例

飲食店でも事務作業はやってはいたものの、事務職「未経験」とみなされて、書類で落とされてばかりだったAさん（40代・女性）。 大手の転職サイトからメルマガで送られてくる「おすすめの求人」に応募しても受からず落ち込む日々でした。飲食業界から事務職へと「地獄のような」転職活動から、異業種への転職を成功させたAさんの大逆転の転職成功談です。

関連記事：40代、飲食業界から事務職へ！「ほぼ未経験」でも転職成功した理由

カフェバーの店舗責任者から飲食のベンチャー企業に転職した例

コロナの影響を乗り越えて、飲食業界への転職を成功させたMさん（40代・男性）の転職体験談です。「自分のお店を持ちたい」という夢のために転職を決意。 ミイダスで転職活動を開始し、2週間で飲食業界のベンチャー企業への転職に成功した秘訣を聞きました。

関連記事：コロナの影響を乗り越えて。40代で飲食のベンチャー企業に転職成功！

シェフで培ったスキルが活かせる場所に転職しよう

シェフが異業種への転職を検討する理由には、「長時間の労働や拘束時間が厳しい」「体力的な負担が大きい」「賃金水準が低い」などが挙げられます。飲食業からの転職を成功させるためには、過去の経験や磨いてきたスキルを振り返り、自身のアピールポイントを見つけることが鍵です。

同時に、自己分析を通じて自分に適した志望先をしっかりと見極め、転職後のキャリアアップを目指すことが大切です。「シェフから異業種に転職したい」「シェフの仕事を続けながらキャリアアップを目指したい」という方は、この機会にぜひミイダスに登録をしてみてはいかがでしょうか。

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