経営企画とは企業や組織において、中長期的な経営戦略や方針を立案し、その実現に向けた施策を考える役割を担う部門や職務を指します。 企業で働いている方なら一度は耳にしたことがあると思いますが、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。

この記事では、経営企画の詳しい仕事内容から、向いている人の特徴などを詳しく解説します。また、未経験から経営企画への転職方法についても紹介しますので、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

経営企画とは

経営企画部は企業において、将来の方向性を決定する中核的な役割を果たします。具体的には、経営陣の方針に基づいて経営戦略を策定し、それを実現するための計画の立案が主な役割です。

この部門は他の部門と連携し、実現可能な行動計画を策定します。経営陣と各部門との情報共有を通じて、企業全体で協力して一体となって行動するための基盤を築くのが仕事です。

また、市場の変化に素早く対応しつつ戦略を調整し、企業の成長を促進する責任も担います。経営企画部は企業の成功に直結するため、責任も大きい部署といえるでしょう。

経営企画と事業企画の違い

「経営企画」と「事業企画」では、それぞれ対象とする企画の範囲や目的が異なります。

経営企画は会社全体の戦略を中心に考え、将来の方向性や課題解決のための提案を行う役割です。市場や競合情報を分析し、戦略的な対応や注力分野の決定を行い、短期・中期の経営計画を策定し実行します。

一方、事業企画は特定の事業単位での方向性や目標達成のために具体的な戦略を立案する役割です。収益最大化を目指して営業計画や行動計画を策定し、その実行と進捗管理を行います。

つまり、経営企画は「会社全体」の戦略立案を担い、事業企画は「特定の事業」の成功を目指した戦略策定が主な役割です。

経営企画の主な仕事内容

経営企画部門は企業の成長戦略を主導し、会社の持続可能な成長を促進します。以下に、経営企画の主な仕事内容についてまとめました。

経営戦略の立案・実行

経営企画部門における経営戦略の立案・実行は、市場や競合他社の動向を分析し、自社の強みと弱みを評価し、会社の長期的な目標を達成するための戦略を立てることです。 戦略に基づいて具体的な行動計画を作成・実行し、必要に応じて調整を行います。

最終的に戦略の成果を評価して改善点を見つけ出し、常に最適な方向へと導くのが仕事です。

予算管理

予算管理とは、会社の資金を効率的に使って目標を達成するためのプロセスです。会社全体の目標に基づいて年間予算を立て、それを各部署やプロジェクトに配分します。

定期的に予算と実際の支出をチェックし、必要に応じて見直しや調整を行うことで、予算の最適な活用を確保します。

新規事業の立ち上げ

新規事業の立ち上げは、市場や企業のニーズを分析し、新しい市場や顧客層をターゲットにした事業を計画・実行することです。まずは、市場調査や競合分析を通じて、市場の機会と成長の可能性を評価します。

次に、市場参入のタイミングや戦略、製品やサービスの開発計画、販売、マーケティング戦略、リスク管理策などを含んだ具体的な事業計画を立案。計画を実行に移し、進捗を定期的にモニタリングをしながら必要に応じて調整を行います。

M&Aの検討・実施

M&A（合併・買収）は、企業が他の企業を買収または合併することです。まず、市場や業界の動向を分析し、成長性や競争力を持つ企業を見つけます。

次に、買収または合併の目的やメリットを明確にし、経営陣と協力して戦略を立てます。戦略が合意されたら、リスクを最小限に抑えながら統合計画を策定し、実行に移す流れです。

組織改革・業務改善

組織改革と業務改善は、目標設定後に経営陣と協力して具体的な施策を策定するプロセスです。これには、組織の再編や業務フローの見直し、効率化のための技術導入やコスト削減策、従業員のスキル向上のための教育などがあります。

計画を実行し、定期的に進捗を確認しながら必要に応じて調整を行います。また、市場の変化に迅速に対応し、持続的な成長と競争力の強化を目指すのが役割です。

経営企画部門での1日のスケジュール

経営企画の1日のスケジュールを解説します。企業や個々の役割によって異なりますが、大体のスケジュールを把握するために、ぜひ参考にしてください。

朝

朝礼を行い、日々の業務や重要なプロジェクトの進捗をチームと共有します。その日の重要な予定や、会議などがあれば調整を行います。

午前

業界の動向や競合他社の動きを分析し、市場分析と競合分析を行います。経営陣や他部門との戦略会議の準備を進め、提案や資料の作成を行うこともあります。

午後

戦略やプロジェクトの進捗、課題、次のステップについてのミーティングを実施。収集したデータを分析し、経営陣や関係者に報告するためのレポートを作成します。

終業後

その日の業務や会議の内容を振り返り、改善点やまとめたデータを共有します。次の日のスケジュールを確認し、必要な資料や準備を整えることもあります。

経営企画部門では、日々の業務において市場分析、戦略立案、データの分析と報告、そして会議やプロジェクトの管理が中心です。また、変化する状況に応じて柔軟に対応することも求められます。

経営企画に向いているのはこんな人

経営企画のポジションは企業において中核的な役割を果たすため、幅広いスキルが求められます。このポジションに向いているのはどのような人材なのでしょうか。

分析力が高い人

分析力が高い人は、複雑な情報や大量のデータを冷静に分析し、それをもとに戦略的な意思決定を行うことにたけています。 このような人は、市場動向や競合情報を細かく調査し、数値やトレンドから分析することが得意です。

この能力を活かせば、会社の将来を見据えた戦略を立案し、成果を最大化するための方向性を見つけられるでしょう。

戦略的思考ができる人

戦略的思考を持つ人は、長期的な視野で会社の将来を見据え、ビジョンを考えられます。市場の変化や競合の動向を常に把握し、それらを踏まえて会社の方向性を決定できるからです。

リスクと機会を的確に見極め、戦略的な意思決定を行えるため、企業の持続的な成長と競争力強化のための戦略を立案できるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

コミュニケーション能力が高い人は、異なる部門や上司、同僚とスムーズに情報を共有し、複雑なアイデアや戦略を明確に伝えられます。

また、他者の視点を尊重し異なる意見も受け入れながら、チーム全体の協力を促進します。これにより、組織内外の関係を構築し、戦略の実施において企業に貢献できるでしょう。

柔軟性がある人

柔軟性がある人は、変化する市場状況や組織内外の要求への対応力に優れています。また、変化に対する抵抗感が少ないため、すぐに状況に適応できるのも特徴です。

新しい情報や異なる意見を受け入れ、適切な行動計画を調整することで、経営企画の仕事でも大きな貢献ができるでしょう。

実行力がある人

経営企画に向いているのは、実行力がある人です。実行力があると、戦略を実際の行動に移せて、目標達成に向けての計画を具体的に考えられます。

また、問題解決能力やリーダーシップも持っており、チームや組織を動かして成果を出せるでしょう。経営企画の仕事においても、計画の実行過程での課題や変化に迅速に対応し、柔軟に調整しながら目標に向かって前進できる可能性が高いです。

高い倫理観を持っている人

高い倫理観を持っている人は、倫理的な観点から行動し、正しい判断を下せます。経営戦略や計画を立案する際には、企業の利益だけでなく、社会的責任や持続可能性を考慮することも大切です。

倫理観が高い人は、企業活動が社会に与える影響を理解し、ブランドを下げることがないような戦略を策定する能力に優れています。仕事をするうえで信頼関係を築きながら、業務を進められるでしょう。

未経験から経営企画に転職する際のポイント

未経験から経営企画のポジションに転職する際には、通常は関連職種でスタートし、業界での経験を積みながら経営企画のスキルを磨くのが一般的です。 しかし、以下の手順を踏むことで未経験からの転職を成功させる可能性が高まります。

キャリアの棚卸しをする

キャリアの棚卸しとは、過去の職歴や経験、スキル、成果を整理し、客観的に評価することです。 これにより、過去の仕事でどんな実績を挙げたか、どんなスキルや経験を積んだかを明確にし、面接で効果的にアピールできるようになります。

キャリアの棚卸しを通じて、自身の強みや成長したポイントを把握し、転職活動で自己アピールや面接での成功につなげられるでしょう。

経営企画に活かせるスキルを伸ばす

未経験から経営企画に転職するには、まずは分析力や戦略的思考、コミュニケーション能力、プロジェクト管理能力といった必要なスキルを伸ばすことが大切です。 これには、オンラインコースの受講や専門書を使った学習、関連するインターンシップやフリーランスの機会を活用する方法があります。

また、関連する業界や企業での実務経験を積むことで、経営企画への理解を深めながら自己成長を図れるでしょう。

経営企画に活かせる資格をとる

未経験から経営企画の職に転職する際には、中小企業診断士、MBA（経営学修士）、公認会計士、税理士などの資格を取得することで採用率が高まります。 これらの資格は、経営戦略や財務分析など経営企画の分野で必要な必要なスキルを身につけるのに役立ちます。

自身のキャリア目標や興味に応じて、資格を取得も検討しつつ経営企画の職に向けて準備することが大切です。

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