総務とは、組織全体に関わる事務を担当する部門であり、他部署が扱わない組織全体に関する業務を幅広く担います。 総務はさまざまな業務を行いますが、具体的な仕事内容をイメージしづらいという方も多いのではないでしょうか。

また、未経験から総務部のポジションに転職は可能なのか、気になる方もいるでしょう。 この記事では、総務の仕事内容や主な業務や給与、やりがいや必要なスキルについて解説します。

また、未経験から総務部への転職方法についても紹介しますので、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

総務の仕事内容とは

企業には人事や営業などさまざまな部署があります。総務部は他部署が担当しない業務を請け負い、組織運営を円滑に進める重要な役割です。

総務の仕事は会社によって異なるため、業務の範囲も一概には言えません。まとめると、総務は企業内部の運営を支え、営業部門のバックオフィス的な役割を担当します。

総務が任される主な業務

総務の仕事内容は企業や組織によって異なり、多岐にわたります。主な業務内容は以下のとおりです。 それぞれ具体的に解説します。

施設管理（インフラ整備）

総務の施設管理とは、企業や組織の物理的環境を維持・管理することであり、オフィスビルや工場、倉庫などの施設を快適かつ安全に保つためのさまざまな業務を行います。 具体的な仕事内容は、空調設備、照明、電気設備などの点検や保守、清掃業者の手配、照明や空調の調節・整備、防災設備の管理などです。

そのほか、コンピュータネットワークやサーバー、業務用ソフトウェアの導入・管理・サポート、防犯カメラやセキュリティ対策の強化、エレベーターやエスカレーターの保守管理などのインフラ整備も含まれます。

機器・備品の発注・管理

総務の役割には、社内で使用するパソコン、電話、デスク、椅子などの機器や備品の発注・管理が含まれます。 具体的には、品名や残数、保管スペースを記録し、不足しないように定期的に発注を行い、コピー機やシュレッダーなどの機器に不具合が発生した際に修理やメンテナンスの業者へ依頼します。

さらに、コピー用紙や文房具などの消耗品の備品を把握し、不足している場合は発注するのも総務の仕事です。オフィスのデスクやホワイトボードなどの家具が古くなった場合には、新しいものへと交換することもあります。

文書管理

総務の文書管理とは企業や組織の文書を整理し、保管することです。必要なときに迅速にアクセスできるようにし、紙ベースの文書だけでなくデジタル文書の管理も行います。 主な文書管理は、以下のとおりです。

• 文書の作成・整理
• 保管・アーカイブ
• 検索・アクセス管理
• 更新・廃棄
• バックアップ
• 法令遵守

また、社員名簿や株主名簿などの社内文書を管理し、保存期間が満了した文書の廃棄も担当します。これらは法令に基づく文書の保管・廃棄を行うもので、法的リスクを減らすためにも重要な業務です。

郵便物の記録・仕分け、発送

企業や組織内での郵便物や荷物の受け取りや、郵便物を部門や担当者ごとに仕分けて発送を行うのも総務部が行う業務の一部です。 大量に届く郵便物を正確に振り分けるためには、各部署の業務内容や担当者名の把握が求められます。

また、郵便物の紛失を防ぐために、発信・受信簿で記録を残すことも必要です。 特に重要な書類や機密情報が含まれている場合は、慎重に取り扱い、記録をきちんと残す必要があります。また、郵送にかかる費用を管理し、予算内に納まるよう調整も行います。

秘書業務（来客・電話対応）

秘書や窓口専任のオペレーターがいない会社では、総務が来客対応や電話の一次対応の担当を行います。電話対応では内容やメッセージを正確に記録し、担当者にスムーズに繋ぐことが大切です。

アポイントメントのある来客には、必要に応じてお茶や飲み物を提供し、快適に過ごせるよう事前に準備を整えます。訪問者の用件を把握したあと、担当者に連絡し、応接室への案内やお茶出しなどの丁寧な対応を心掛けます。

社内行事の企画・運営

総務は社内行事の企画・運営を担当することもあります。主な業務内容は、イベントの目的に応じた詳細な計画立案や予算の策定、スケジュールの調整です。

会場の予約や飲食の手配、装飾、音響・映像設備の準備など、行事に必要な各種業者の手配を行い、参加者への招待状や案内状の作成、送付も行います。 イベント当日は進行役としてスムーズな進行を監督し、参加者へのフォローやトラブルへの対応も欠かせません。

法務・契約管理

法務部がない企業では、法律や規制を遵守しているかを確認し、法的リスクを管理することも総務の業務のひとつです。 この業務には、オフィスの賃貸契約、社員の雇用契約、オフィス機器のレンタル契約など、すべての契約書の管理が含まれます。

社内ルールの整理、契約書の作成や確認、内容の正確性チェック、契約の更新や再交渉なども行います。

福利厚生業務

総務の福利厚生業務は、社員が快適に働けるようにするための制度やサービスを管理・運営する仕事です。具体的には、健康保険や年金などの福利厚生制度を整え、社員の健康診断やメンタルヘルス支援や育児・介護支援を行います。

また、社員食堂や休憩室などの福利厚生施設を管理し、社員のモチベーションや満足度を高める役割も果たします。

人事関連業務

人事部がない企業では、総務が社員の採用から退職までの人事関連業務を担当することがあります。具体的には、求人広告の作成や面接の調整、応募者との連絡、採用決定までのサポートです。

また、労働条件や契約の管理、労働法に基づく手続きや対応も行い、社員の勤怠管理や給与計算、社会保険の手続きなどの日々の社員管理業務も行います。

さらに、新入社員や既存社員向けの研修やスキルアッププログラムを企画したり、福利厚生制度の運営、健康保険や年金、各種手当の管理を行ったりするなど社員が快適に働ける環境を整えます。

ホームページ・SNSの管理

総務のホームページ・SNS管理とは、企業のWebサイトやSNSアカウントを運営し、管理することです。Webサイトの内容を最新の情報に更新し、デザインや機能が問題ないかをチェックし、サイトに不具合があればすぐに修正します。

SNSの効果を分析して投稿内容や戦略を改善するためのデータを集めることで、オンラインでの情報発信をスムーズに行い、企業のブランドイメージ向上の戦略を図ります。

総務の仕事のやりがい

総務は社内のあらゆる業務を行うため、柔軟性が求められます。そのため、やりがいや身につけられる知識やスキルも多いです。 以下に、総務の仕事におけるやりがいについて解説します。

幅広い業務経験を任せられる

総務の仕事は基本的な業務だけでなく、人事関連業務や法務関連業務に至るまでさまざまな業務を請け負います。

多くの業務に携われるため、総務担当者は幅広い知識やスキルを身につけられ、自己成長を実感できる点が大きなやりがいです。

企業全体のサポートができる

総務の仕事は部署を問わず、社内の多くの人々をサポートする機会が多く、さまざまな業務を通じて社員との直接的なコミュニケーションをとることが求められます。

社員が日常業務をスムーズに進めるために不可欠な存在であるため、社員からの感謝の言葉をかけられることや、問題が解決した際の喜びを大きく感じられるのがやりがいでしょう。

問題解決能力を向上できる

総務は社内のさまざまな問題や要望に対応する必要があるため、迅速かつ的確に対処する能力が求められます。 そのため、問題に対応する過程で状況を分析し、最適な解決策を見つける力が自然と身につきます。

問題解決の経験を積むことで、さらなるキャリアアップにつながるのも魅力のひとつです。

総務の給与とは

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、総務の平均年収は「総合事務員」としてのデータから以下のとおりです。

• 月給：32万5,000円
• 賞与その他特別給与：99万9,500円
• 年収（単純換算）：489万9,500円

また、経歴によっても年収は異なります。

• 新入社員（1〜3年）: 年収300万〜400万円
• 中堅社員（4〜10年）: 年収400万〜600万円
• マネージャー（10年以上）: 年収600万〜800万円以上

これらの年収は平均的なものであり、企業や地域、個人の能力によって変動します。

総務に必要な役立つスキル

総務の仕事を行うに当たってそのようなスキルが必要なのでしょうか。以下にスムーズに業務を行うために求められるスキルを解説します。

パソコンスキル

総務の仕事では、パソコンを使用する機会が多いため、Word、Excel、PowerPointなどの基本操作はもちろん、データ分析や資料作成など、プレゼンテーション作成に必要なパソコンスキルが求められます。

また、社内外のコミュニケーションにおいてのメール管理や、基本的なITリテラシー、システムのトラブルシューティング能力も必要です。

コミュニケーションスキル

総務の仕事では多くの部署や社員と接したり、さまざまな要望や問題に対応することが求められたりするため、スムーズなコミュニケーション能力が不可欠です。そのため、ビジネスの場にふさわしい言葉遣いや相手の要望、問題を正確に理解するための聞き取り力が求められます。

また、制度や手続きの説明も頻繁に行うため、わかりやすく簡潔に説明する能力も不可欠です。

情報処理スキル

業務の効率化として、情報処理スキルは総務の仕事においてとても重要です。主な情報処理スキルとして、データの管理、文書の作成、デジタルツールの活用、セキュリティ対策などがあります。

• 正確にデータを整理する
• 適切な文書を作成する
• 効果的にデジタルツールを活用する
• 情報のセキュリティを確保する

上記を行うことで、スムーズに企業の運営を支えられるでしょう。

マルチタスク対応スキル

総務は突発的なトラブルや変更に柔軟に対応しつつ、チームメンバーや関係者との効果的なコミュニケーションを行うことがあります。 そのため、複数の業務を効率的に管理し、優先順位を設定して仕事を進めるマルチタスク対応スキルはとても重要です。

限られた時間内で業務を計画的に進行し、企業の円滑な運営をサポートします。

スケジュール管理スキル

総務の仕事では、効率的なスケジュール管理、優先順位の設定、進捗の確認など柔軟な対応が求められます。そのためには、計画立案能力や進捗管理能力は不可欠です。

スケジュール管理ツールを活用し、チームメンバーや関係者との効果的なコミュニケーションを行うことで、業務を円滑に進められます。

総務に役立つ資格

総務の仕事に役立つ資格にはどのようなものがあるのでしょうか。総務の業務を行うに当たって、特別な資格は必須ではありません。

しかし、以下の資格を取得することで業務をより効率的に行い、専門性を高められます。

社会保険労務士

社会保険労務士（社労士）は、労働法や社会保険に関する専門知識を持つことを証明する国家資格です。

この資格を持つことで、企業や個人に対して労働・社会保険関連のアドバイスをしやすくなったり、社員の労働条件や福利厚生に関する業務をサポートする際に役立ったりします。

ファイナンシャルプランナー（AFP・CFP）

ファイナンシャルプランナー（FP）は、財務管理や資産運用の専門知識を持ち、個人や企業の財務計画をサポートするための資格です。

企業の経理や福利厚生の管理に役立ちます。企業の資金管理や福利厚生プランの設計に貢献できるでしょう。

秘書検定

秘書検定は、秘書業務に必要なビジネスマナー、事務処理能力、コミュニケーションスキルを測る資格です。試験内容には、ビジネスマナー、文書作成、電話応対、スケジュール管理などが含まれます。

秘書検定で学んだ事務処理スキルは、書類作成やスケジュール管理をより効率的に行い、社内外の関係者とのコミュニケーションを円滑に進めるのに役立つでしょう。

ビジネス文書検定

ビジネス文書検定は、ビジネス文書を正確かつ効果的に作成する能力を証明する資格です。総務部門では、業務報告書、社内文書、契約書、通知書などの文書を正しく作成することが求められます。

文書作成に関する専門的な知識を得ることで、文書作成の効率が向上し、業務全般のスピードと正確性が高まります。ビジネス文書作成のスキルは総務部門だけでなく、他の業務領域でも役立つでしょう。

簿記検定

簿記検定は、企業の財務諸表の作成や帳簿の管理に必要な知識とスキルを測る資格です。総務部門では、経理業務や財務管理、予算策定などに役立てられます。

簿記に関する専門知識を得ることで経理業務や財務管理を効率的に行えるようになり、業務全般のスピードと正確性がアップするでしょう。

未経験から総務のポジションに転職する方法

総務のポジションに転職するためには、必須なスキルはありませんが、以下のことを行うと転職の際に役立ちます。

必要なスキルと知識を獲得する

未経験から総務に転職するには、必要な知識とスキルをしっかりと習得することが大切です。総務業務には、基本的な事務処理能力、コミュニケーション能力、情報処理スキル、マルチタスク能力が求められます。

現在の仕事でこれらのスキルを磨きつつ、さらに知識を取り入れることで、総務に関連する資格の取得や転職活動に役立つでしょう。

自己分析と自己PRを行う

過去の職歴や経験、スキル、成果を整理し、客観的に評価することで面接で自身を効果的にアピールできるようになります。

自己分析と自己PRを通じて、自身の強みや成長したポイントを把握することが、転職活動や面接での成功につながります。

【関連記事：【長所別】面接で使える自己PRの例文5選｜強みの見つけ方も紹介】

関連業務の経験を積む

未経験から総務に転職するには、関連業務から経験を積むのもおすすめです。現職での業務のなかで、データ入力や文書作成、スケジュール管理など、総務に関連するタスクを積極的に担当し、実務経験を積みましょう。

また、総務業務に関連するインターンシップやボランティア活動に参加し、経験を積むことで実際の総務業務に触れる機会が得られます。

転職サイトを活用する

経験やスキル不足で転職に不安がある場合、転職サービスの利用も有効な方法です。転職サービスを活用すれば、求人情報を効率的に探せるだけでなく、キャリアコンサルタントからのアドバイスや面接対策のサポートも受けられます。

総務のポジションに関連する求人を積極的に探し、関連する資格の取得を通じて必要なスキルや知識を磨きましょう。これにより、自己PRの準備や実際の面接に備えられます。

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