残業が多いことで知られている広告代理店。実際に働いている方のなかには、残業に悩んでいる人も少なくないと思います。 この記事では、広告代理店の残業が多いとされている実態から、トラブルの原因、残業が少ない広告代理店への転職を叶えるポイントについてご紹介します。

広告代理店で過重な労働時間に悩んでいる方は、転職が働き方を改善するひとつの手段となるかもしれません。ぜひ転職の際に参考にしてみてください。

広告代理店は残業が多い？「やめとけ」といわれる理由

華やかで人気のある広告代理店ですが、実際は残業が多く激務な業界として知られています。2020年の月平均残業時間が多かった業種ランキングによると、広告業界の残業時間は以下のようになっています。

• 教育職：38.6時間
• IT関連職：30.4時間
• 製造業：29.0時間
• 金融業：28.4時間
• 建設業：28.0時間
• 広告宣伝：20.1時間

なお、2020年はテレワークの実施により調査対象の全業種で残業時間が前年より下回っているため、例年はさらに長いということがわかります。

広告代理店の残業時間はどれくらい？

広告代理店の残業時間は、形態や業種によってもそれぞれ異なります。ミイダスマガジンが保有しているデータをもとに見てみましょう。

Web系広告代理店の場合

Web系広告代理店における残業時間は、月平均25〜45時間ほどです。特に残業が目立つのはインターネット広告代理店で、9割近くの方が45時間以上残業しています。

顧客と制作の板挟みになる広告代理店では働く人たちの負担が集中し、一人ひとりの働き方と生産性が、企業の営業利益に直接的に影響するのが残業の要因となっています。

紙媒体等のオフライン広告代理店の場合

オフラインの広告系業界の残業時間も、Web系と同じように25〜45時間ほどです。総合広告代理店はオフライン系に分類されますが、同時にオンライン広告メニューも取り扱っています。

最近では業界全体において残業時間に関する規制が厳しくなっており、1日1時間未満の残業時間を実現している広告代理店や、30分未満の残業時間を実現しているマーケティング会社も3割以上ほど存在しています。

広告代理店の勤務時間が長くなる理由

広告代理店の長時間労働は、何が原因となっているのでしょうか。それぞれの理由を詳しく見てみましょう。

繁忙期が忙しくなりやすい

広告代理店では、繁忙期になると月間の残業時間が100時間を超えることもあります。広告業界で、広告の出稿が急増する時期は年度末、新年度、年末年始、クリスマス、ボーナス商戦期などです。

また、繁忙期以外でもデザイナーなどは締め切りが迫ると急ピッチで仕事を進める必要があるため、残業が増加する傾向があります。

クライアントの要望に答えなければならない

広告代理店の利益は、基本的にクライアントからの報酬で成り立っています。そのため、クライアントのニーズは優先的に対応しなければなりません。

クライアントによっては、複数のクリエイティブを制作することや急な締め切り変更、修正を求められることがあります。広告代理店がクライアントに対して相対的に弱い立場にある場合、これらの要望に柔軟に対応するしかありません。

その結果、クライアントの要求に左右されて残業が増えることになるのです。

飲み会や接待が多い

広告代理店では度々、飲み会やクライアントとの接待が行われます。特に営業職はクライアントと直接対話する機会が多いため、ビジネス上の関係を深めるための交流が重要視されています。

こうした接待活動は通常業務時間外に行われ、その結果として残業が発生するのです。営業職勤務の社員にとって、接待はクライアントとの信頼関係を築くのに重要な仕事のため、断りづらいのもひとつの要因として考えられるでしょう。

広告代理店で残業代の未払いが起こりやすい雇用形態

広告代理店は残業が多いとされていますが、残業代の未払いが多いとされるのも1つの課題です。なぜ、未払いが起こってしまうのかその理由を解説します。

裁量労働制

広告代理店で残業が発生するのは、その背景に裁量労働制の導入が関与しているケースが見られます。裁量労働制とは、1日のうち何時間働くのかを労働者の裁量に委ね、始業・終業時刻を決めない働き方のことをいいます。

裁量労働制では、働いた時間が実際の労働時間よりも長くても短くても、あらかじめ設定された一定の時間として見なされるため、これが原因で残業が増加することがあります。

固定残業代制

広告代理店では、「固定残業代制」が導入されているケースがあります。この制度は、あらかじめ設定された時間を残業とみなし、固定の残業代が支給されます。

たとえば、月のみなし残業時間が10時間であれば、実際には5時間しか残業しなかった場合でも10時間分の固定残業代が支給されるのです。

一部で「固定残業代制を導入しているから、追加の残業代は支給されない」といった誤った見解が行われることがありますが、実際にはこれは正しくありません。 超過分は、別途残業代が支払われる仕組みです。

残業が少ないホワイトな広告代理店の特徴4つ

残業が少なく残業代がきちんともらえるホワイトな広告代理店に転職するためには、どのポイントを見ればいいのでしょうか。ホワイトな広告代理店を見極める、主な4つの特徴をご紹介します。

1．残業時間が月平均25時間以下

残業時間が平均で25時間以下の企業は、ホワイトな広告代理店といえるでしょう。ブラック企業で残業が多い理由は、仕事量に対して人手が不足しているからです。

本来、仕事というものは就業時間内に終わらせるべきであり、企業はそれを実現するために適切な人員配置と勤務管理を行うべきです。そのため、残業が多い企業は人手が足りないブラック企業の可能性があります。

2．年間休日数が120日以上

年間休日が平均で120日以上あるのも、ホワイト企業の特徴といえます。

このような企業は従業員のワークライフバランスを重視し、労働環境を改善する方針を取っていることが多いです。十分な休暇が与えられるため、従業員は健康な状態で仕事に取り組めます。

一方で、ブラック企業は人件費節約のために少ない社員で業務を回そうとする傾向があります。これにより、従業員には過重な労働を強いられ、ワークライフバランスが損なわれる恐れがあるのです。

ただし、企業の年間休日が多くても、休日出勤が存在する場合もあります。そのため、詳細な労働条件や福利厚生については口コミサイトや転職サイトで、従業員の意見や経験談を確認することが重要です。

3．離職率が低い

新卒入社3年以内の離職率は平均30％といわれています。そのため、それよりも離職率が高い企業はブラックな可能性があるので注意が必要です。

離職率が高いということは、会社に何らかの問題があると見られます。離職率が高い場合、教育制度が不十分であったりパワハラが蔓延しているなど、厳しい環境である可能性が高いです。

逆に離職率が低い企業は、若手社員を大切にしているホワイト企業といえるでしょう。

4．福利厚生が充実している

福利厚生がきちんと整っていることも、ホワイト企業の特徴として挙げられます。福利厚生は、企業が従業員に提供する給与や賞与以外の福祉的な手当やサービスのことで社会保険、交通費、住宅手当、資格取得支援、健康診断などが該当します。

福利厚生の水準は、企業が社員をどれだけ大切にしているかを示すものでもあり、特に住宅手当が整っている企業は魅力的な企業といえるでしょう。

残業が少ない広告代理店を見つける方法

ホワイトな広告代理店の特徴を知ったところで、次に残業が少ない広告代理店を見つける方法を紹介します。

転職サービスを活用する

残業が少ない広告代理店を見つける方法のひとつとして、転職サービスを活用するのがおすすめです。転職サービスは求人を一つひとつ探す手間が省けて、希望する企業に出会える可能性が高まります。

「ミイダス」では個人の職業適性やキャリアを評価し、最適なキャリアパスや職種を提案するための診断ツールが充実しています。コンピテンシー診断では、簡単な質問に答えるだけで、自身の強みや適性、興味を客観的に把握することが可能です。

診断結果を通じて興味を持っている企業からのスカウトが届く可能性もあるので、転職のサポートとして役立つでしょう。

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「ホワイト企業トップ500」から探す

「ホワイト企業トップ500」は、経済産業省が2016年から実施している「健康経営優良法人認定制度」に基づく企業リストのことです。評価の基準には、健康診断の実施状況やストレスチェックの実施、健康づくりへの取り組みなどが含まれます。

企業はこれらの要件をクリアすることで「健康経営優良法人」としての認定を受け、そのなかでも優秀な企業が、ホワイト企業トップ500に選ばれます。

【関連記事：ホワイト企業とは？特徴はある？転職先の探し方などを解説！】

就職四季報をチェックする

ホワイト企業を見つけるための手段として、会社四季報や決算情報をチェックする方法があります。企業の財務状況や経営状態を調査することで、その企業が従業員に対して働きやすい環境を提供しているかどうかを判断できます。

会社四季報は、日本の企業や銘柄に関する情報だけでなく、離職率や平均年収など企業の詳細なデータも載っているためスムーズな転職活動に役立つでしょう。

残業が少ない広告代理店への転職を叶える3つのポイント

残業が少ない広告代理店への転職を叶えるためにはどうすればいいのでしょうか。3つのポイントをご紹介します。

1．企業が求める人物像を理解する

理想的な転職を叶えるためには、企業が期待する人物像を理解することが大切です。新卒採用のプロセスでは、応募者の適性や価値観が合否の判断材料となることが一般的です。

特に広告業界では急速なトレンドの変化に敏感であり、時代をリードする存在としてコミュニケーション能力や行動力、情報収集力を持つ人材が求められます。

2．志望動機の質を高める

志望動機の質を高めることも、ホワイトな広告代理店に転職するうえで重要です。その理由は、広告代理店が毎年就職人気ランキングで上位に位置するほど人気があり、特にホワイト企業は激しい競争が予想されるからです。

この業界は多くの応募が集まるため、適当な志望動機を持つ応募者は選考対象から外される可能性が高まります。そのなかで、「なぜその企業を志望したのか」など深い志望動機を明確に述べられる応募者は採用率が高くなるといえるでしょう。

【関連記事：転職理由と志望動機の違いとは？一貫性を持たせる方法や例文を紹介！】

3．自己分析を徹底し、長所を明確にする

3つ目のポイントは、自己分析を進めて志望する職種で発揮できる長所を明確にすることです。企業は自社にとって価値のある人材を求めています。

フットワークが軽く柔軟な対応ができる人材は、広告代理店で優れたパフォーマンスを発揮できるとみなされます。逆に、自身の強みがわかっていない場合、企業にとっては採用のメリットが見い出せません。

自己分析を深めて、広告業界でしか活かせない長所を見つけてアピールすることが大切です。

【関連記事：【例文あり】長所と短所、面接での答え方や言い換え方法を解説】

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労働条件を確認して、残業の少ない広告代理店に転職しよう

転職において、残業が少ない労働環境を望むことは当然のことだと思います。広告代理店は一般的に残業が多い業界ですが、なかにはホワイトな企業も存在します。

そのため、転職を検討する際には労働時間や残業の有無について、詳細な情報を収集することが重要です。過去の社員の経験や口コミ、企業の公式発表を調査し、実際の残業時間などを知って残業が少ない広告代理店を見つけましょう。

これらのポイントを確認することで、転職時によりよい選択ができるようになります。

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