フリーランスは自由度が高く、自分らしい働き方を実現しやすいなど、多くのメリットがあります。しかし、実際に活動を続けるなかで、収入の不安定さや将来への不安を感じ「やっぱり正社員として働きたい」と考える人も少なくありません。

一般的に、フリーランスから正社員への転職は難しいといわれますが、実際のところはどうなのでしょうか？ 本記事では、フリーランスから正社員へ転職する際のポイントや、面接での効果的なアピール方法について詳しく解説します。

フリーランスから正社員への転職は難しい？

フリーランスから正社員への転職は十分に可能ですが、難しい側面もあります。 フリーランスで培った経験を強みにできれば企業にとって魅力的な人材になれますが、組織での働き方やチームでの協力に順応することが求められやすいです。

そのため、コミュニケーション力を高めることや、組織の一員としての責任を意識することが必要になります。 たとえば、フリーランス時代は自分の裁量で仕事を進めることが多かったとしても、会社ではチームワークや組織のルールに沿った働き方が求められます。

また、収入の安定性や福利厚生を重視するのか、それとも自由度を優先するのかといった価値観の違いについても、事前に整理しておくのが望ましいです。

転職を成功させるためには、自分が何を求めているのかを明確にし、企業のカルチャーや働き方が自分に合うかどうかを慎重に見極めることが大切です。そうすることで「思っていたのと違った」と後悔するリスクを減らし、満足のいくキャリアチェンジを実現できるでしょう。

フリーランスと正社員、それぞれのメリット

フリーランスと正社員、それぞれにメリットがありどちらが得かは人によって異なります。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

フリーランスのメリット

1.収入を増やしやすい

フリーランスは仕事量や単価を自分で調整できるため、スキルや営業力次第では正社員よりも高収入を得ることが可能です。特に専門性の高い職種では、大きな収益を上げられる可能性が高いでしょう。

2.働く時間や場所の自由を優先できる

フリーランスは自分でスケジュールを決められるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。リモートワークやワーケーションなども可能で、柔軟に時間を使える点が魅力です。

3.人間関係のストレスを減らせる

会社員のように上司や同僚との関係に気を遣う必要が少なく、人間関係で悩みづらいのがフリーランスの魅力です。自分に合ったクライアントとだけ仕事をする選択肢も持てます。

正社員のメリット

1.安定した収入と雇用の保証がある

正社員は毎月決まった給与が支払われ、景気の変動に左右されにくい点が魅力です。さらに、社会保険や退職金などの制度があり、長期的な安心感があります。

2.キャリアアップやスキルアップを目指せる

企業には研修制度や教育支援が整っており、未経験分野への挑戦やスキルの向上がしやすいです。また、組織の中で経験を積むことで、マネジメントスキルも磨かれます。

3.社会的信用が高い

ローンを組む際や賃貸契約などでは、正社員のほうが審査に通りやすい傾向があります。フリーランスは、収入の不安定さから審査が厳しくなることが多いです。

フリーランスからの再就職を考える理由

フリーランスとして自由な働き方を経験したあと、正社員として働くことを考える人も少なくありません。以下では、フリーランスから正社員へ戻る主な理由について詳しく解説します。

安定した収入を望める

フリーランスとして働く大きな課題のひとつが、収入の不安定さです。クライアントの契約状況や市場の変動によって、収入が大きく変わることがあります。

特に案件が突然途切れたり単価が下がったりすると、収入が下がり生活に支障をきたすこともあるでしょう。 一方で、正社員は毎月決まった給料が支払われるため、将来の資金計画を立てやすくなります。

ボーナスや昇給制度がある会社も多く、安定した生活基盤を築くことが可能です。 また、家族を養っている場合やマンションのローンなど大きな買い物をする場合、会社に勤めている人のほうが社会的信用度が高いため、有利に働くことが多いです。

税金を軽減できる

フリーランスは確定申告が必須であり、所得税や住民税、さらには事業税などの負担が重くなることがあります。正社員になれば、所得税や住民税は会社が給与から自動で天引きしてくれるため、確定申告の手間がなくなるのがメリットです。

さらに、フリーランスのときに支払っていた高額な国民健康保険や年金の負担も、会社の社会保険制度に加入することで軽減できるため、経済的なメリットを感じる人も多いです。

社会保障を得たいから

フリーランスは基本的に国民健康保険や国民年金に加入するため、医療費や老後の保障が手薄になりがちです。 特に、フリーランスの国民年金は支給額が低く、将来の年金額に不安を感じる人も少なくありません。

また、病気やケガで働けなくなった際の保障も乏しく、万が一のリスクに備えることが難しいのが現状です。

正社員になれば厚生年金や健康保険に加入でき、老後の年金受給額も増えます。さらに、傷病手当金や育児休業給付金などの手厚い保障を受けられるため、安心感が大きいのもメリットです。

フリーランスから正社員への転職を成功させるポイント

フリーランスから正社員への転職は十分可能ですが、スムーズに進めるためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。以下では、フリーランスからの転職を成功させるための具体的なポイントを紹介します。

業務委託契約から雇用契約へ切り替える

現在、企業と業務委託契約を結んでいる場合、まずはその企業で正社員として働けないか可能性を探るのもひとつの方法です。

もし契約先の企業に正社員枠がある場合、上司や担当者に相談し、転職の意向を伝えることでスムーズに雇用契約へ移行できる可能性があります。

自己分析を行う

転職活動を成功させるには、自分の強みやスキルを明確にすることが重要です。フリーランスとして働いてきたなかで、どのようなスキルを習得し、どんな成果を出してきたのかを整理しましょう。

また「なぜフリーランスから正社員に転職したいのか？」という動機を明確にすることも大切です。安定が欲しいのか、新しい環境でスキルアップしたいのかなど、将来的なキャリアのビジョンと合わせて整理しておくと、面接時に説得力のある説明ができます。

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フリーランスの経歴は不利ではないことを知る

「フリーランス経験は転職に不利なのでは？」と不安に思う人もいますが、フリーランスの強みである自己管理能力や専門スキル、クライアントとの折衝力などは、どの企業でも求められる能力です。

面接ではフリーランス経験をネガティブに捉えず、企業に貢献できるスキルがある」という前向きな姿勢で伝えましょう。企業側が求める人物像を理解し、それにマッチする点を強調すると、好印象を与えられます。

フリーランスとしての成果・実績を見せる

転職活動では、フリーランス時代の実績を具体的に示すことが重要です。企業側は「この人を採用することでどのようなメリットがあるのか？」を知りたいと考えています。

どのようなクライアントと仕事をしていたのか、具体的な業務内容と成果、担当したプロジェクトの規模や成果を整理し、ポートフォリオや職務経歴書にまとめることで、説得力のあるアピールができます。

ポジティブに挑む

転職活動は不安や焦りを感じるものですが、ポジティブな気持ちで挑むことが大切です。フリーランスで得た経験を活かせる場は必ずあり、採用担当者も前向きな姿勢の人材に魅力を感じます。

また、面接では「なぜ正社員に戻りたいのか？」をポジティブに伝えましょう。「安定した環境で長期的にスキルを伸ばしたい」「チームでの業務を通じて新しい経験を積みたい」など、前向きな理由を述べると好印象を与えやすくなります。

人脈を活用する

フリーランス時代に築いた人脈を活用するのも、効果的な転職手段です。過去に仕事をしたクライアントや知人に相談することで、転職のチャンスが広がる可能性があります。

特に業界内での信頼関係がある企業や担当者から紹介してもらえれば、転職成功率が高くなります。知人経由の紹介は面接時の信頼度も高くなり、採用までのプロセスがスムーズになることが多いです。

転職サイトを利用する

フリーランスから正社員への転職を考える場合、転職サイトやエージェントを活用するのもおすすめです。フリーランス向けの求人を取り扱っているサイトも多いので、自分のスキルや希望条件に合った企業を見つけやすくなります。

特に、フリーランス経験をどのようにアピールすればよいか迷っている場合、プロのアドバイスを受けることで自信を持って応募できるようになるでしょう。

【関連記事：転職サイトでスカウトが届く仕組みとは？怪しい？届きやすくなるコツも解説】

フリーランスからの転職での注意点

フリーランスから正社員への転職を成功させるには、企業側の視点を理解して適切なアピールをすることが求められます。以下では、フリーランスからの転職で注意すべきポイントを解説します。

即戦力になることをアピールする

企業がフリーランス経験者を採用する場合、即戦力として活躍できるかを重視します。そのため、これまでの実績やスキルを具体的に伝えて「入社後にどのように貢献できるか」を明確に示すことが大切です。

「これまでにどのような業界、クライアントと仕事をしてきたか」「自身のスキルや専門性が、企業の求めるものとどう合致するか」「これまでのプロジェクトでどのような成果を上げたか」を数値データを交えてアピールできると効果的です。

ただし「個人で自由に仕事をしてきた」という点を強調しすぎると「組織に適応できないのではないか」といった懸念を持たれる可能性があります。そのため、チームでの協力経験などもあわせて伝えるとよいでしょう。

組織の一員になるという覚悟を持つ

フリーランスは自己裁量で働けますが、企業では組織のルールやチームワークが求められるため、フリーランス時代とは異なる働き方に適応する必要があります。

企業側はフリーランス経験者に対して「自己流のやり方にこだわりすぎて組織に馴染めないのではないか」という懸念を抱きやすいです。そのため、会社のルールや文化に対し柔軟に適応できる姿勢を示し、組織で働く意欲を伝えることで企業側に安心感を与えられます。

企業で長く働く意志を持つ

企業が応募者を検討する際「長く働いてくれるかどうか」も見られています。特にフリーランス経験者は「また独立するのではないか」と思われやすいので、長期的なキャリアプランを明確にすることが大切です。

面接時には「企業にどのように貢献したいか」「長期的にどのようなポジションを目指しているか」を整理し伝えるとよいでしょう。 また、転職理由としては「この会社で成長したい」「チームで新たな挑戦をしたい」といった前向きな意欲を示すことで企業側に安心感を与えられ、好印象を残せるでしょう。

【年代別】フリーランスからの転職を成功させるアピール方法

フリーランスから正社員に転職を希望する場合、年齢に合わせたアピールが重要です。ここでは20代、30代、40代別にどのようなアピール方法が効果的かを紹介します。

20代

20代のフリーランス経験者が転職を成功させるためには、成長意欲と柔軟性を前面に出すことが大切です。

この年代の志望者に対して、企業側が求めるのは「若さとエネルギー」「新しい視点を持った即戦力」です。フリーランス時代の経験を活かしつつ、チームでの協力や企業文化への適応力をアピールしましょう。

PR例文

「フリーランス時代にはクライアントとのコミュニケーションを大切にし、柔軟な対応力を身につけました。この経験を活かしてチーム内で積極的に協力し、企業の目標に貢献していきたいと考えています」

30代

30代のフリーランス経験者は、実績と専門性をアピールすることが求められます。この年代ではフリーランスとして積み重ねてきた成果や、業界で培った専門知識が強みとなるでしょう。

企業は即戦力として活躍できる人材を求めているため、実績を数字などを持ちいて具体的に示すことが効果的です。

PR例文

「フリーランス時代には、特定の分野で専門知識を深め、クライアントの売上向上を実現するなどの実績を積んできました。

これまで培ったスキルを御社のプロジェクトに活かし、さらに幅広い分野での経験を積みたいと考えています。長期的には、リーダーシップを発揮できるポジションを目指していきたいです」

40代

40代のフリーランス経験者は、マネジメント能力や長期的なキャリアビジョンをアピールすることが鍵です。

この年代では、フリーランスとして培った高度な専門知識やプロジェクトマネジメントの経験を活かし、企業内でのリーダーシップや戦略的な視点をアピールすることが求められます。

PR例文

「フリーランスとして複数のプロジェクトを同時進行で管理し、チームを指導しながら成果を挙げていきました。この経験を活かして、企業の成長に貢献できると確信しています。 安定した環境で長期的にキャリアを築き、チームのなかでリーダーシップを発揮していきたいと考えています」

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