「海外の人と関わる仕事がしたいけど、具体的にどんな仕事があるのかわからない」
「インバウンド業界への転職の進め方がイメージできない」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。本記事では、インバウンド業界に興味を持つ方に向けて、業界の特徴や仕事の魅力、求められる人材像、転職の進め方をわかりやすくまとめました。インバウンド業界への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

インバウンド業界とは？

インバウンド業界とは訪日外国人向けにサービスを提供する産業全体を指し、ホテルや交通機関、観光施設、文化体験や小売業など幅広い分野が含まれます。 最近では訪日客だけでなく、最終的な利用者が海外の人であるビジネスも対象とされ、地域経済や観光の発展において重要な役割を担っている業界です。

【2025年発表】インバウンドの現状と今後の傾向

観光庁が2025年5月に発表している「観光白書」によると、2024年の訪日外国人旅行者数は約3,687万人で、2019年比15.6％増と過去最高を記録したことがわかります。国籍・地域別内訳では韓国が最多で、次いで中国、台湾、香港と続いており、アジアからの旅行者数は2,906万人と全体の78.8%にのぼります。また、訪日外国人旅行消費額は8兆1,257億円で、2019年比68.8％増となりました[注1]。

一方で、インバウンド業界では深刻な人手不足が課題です。観光地や飲食店、ホテルなどで労働力の確保が急務であり、成長に対応するには労働環境の改善や人材確保が不可欠といえます。今後は観光地の混雑緩和や地域間の観光客分散など、旅行者の分布を工夫する施策や、インバウンド業界における人材の確保が重要な鍵となるでしょう。

[注1]出典：「令和６年度観光の状況 令和７年度観光施策」（観光白書）について＜2025年報道発表＞資料第1部｜観光庁

観光庁によるインバウンド支援

観光庁はインバウンド拡大のための環境整備を進めています。「インバウンド受入環境整備高度化事業」では、訪日外国人旅行者の周遊促進や消費拡大、地方誘客を図る施策が行われています。 具体的には、全国の観光スポットや広域的な周遊に係る環境整備の取り組みを支援しており、多言語案内やトイレ改善、施設改修などに補助金を提供している状況です[注2]。

さらに多様な宗教的、文化的習慣を有する旅行者のための食・礼拝環境の整備や、訪日客向けマナー啓発動画の発信、無料Wi-Fiの拡充など、安心で快適な滞在を促進する取り組みも広がっています[注3]。

[注2]出典：インバウンド受入環境整備高度化事業｜観光庁
[注3]出典：「令和６年度観光の状況 令和７年度観光施策」（観光白書）について＜2025年報道発表＞資料第3部｜観光庁

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インバウンド業界の主な仕事内容

インバウンド業界には、訪日外国人向けの観光・飲食・小売など幅広い分野の仕事があります。いずれも外国語力や接客力を活かし、日本の魅力を伝えることが求められます。

観光・ホスピタリティ系

ホテルや旅館のフロントスタッフ、コンシェルジュ、観光ガイド、通訳案内士、旅行会社の添乗員などが代表的な仕事です。 外国語を扱えるスキルや地域への知識、柔軟な対応力が求められます。訪日客に快適な滞在を提供し、観光地の魅力を的確に伝えることで、旅行体験の質を高める役割を担います。

関連記事：ホテル業界の仕事内容とは？やりがいや魅力、転職方法を解説

飲食系

レストランやカフェ、居酒屋、寿司店などでは、外国人観光客に日本の食文化を体験してもらう接客やサービスが求められます。 外国人観光客に向けた多言語対応メニュー作成や、寿司作り・居酒屋体験などの体験型飲食サービスも増加傾向です。語学力とホスピタリティ精神を活かし、観光客に深い食文化体験を提供する職種です。

小売・免税店系

免税店や百貨店、ドラッグストアでは、外国人観光客への接客・販売が中心です。商品説明や提案を多言語で行い、スムーズに購入できる環境を整えることが求められます。 語学力や丁寧な接客、商品知識、文化への理解力を活かしつつ、観光客が快適に買い物できるようサポートします。

体験・エンタメ系

観光施設やテーマパーク、伝統文化体験施設、エンタメイベントでは、日本文化や遊びを体験してもらうことが主な仕事です。 茶道や和菓子作り、忍者体験、アニメ・ゲームイベントの案内スタッフなどが代表例として挙げられます。語学力や接客力に加え、体験の魅力を伝える演出力や安全管理能力も求められ、旅行者に特別な思い出を提供する役割を担います。

交通・ガイド系

交通・ガイド系では、空港や駅、観光地での案内、バス・タクシー運転手、船舶クルー、通訳ガイドなどが含まれます。 外国語での案内やスムーズな移動サポートが求められ、観光客が安全かつ快適に移動できる環境作りが不可欠です。交通手段や地域情報に詳しく、柔軟かつ丁寧な対応が旅行者の満足度を左右します。

ツアー・旅行企画系

旅行会社や観光協会、地方自治体でのツアー企画・運営、旅行プランニング、イベントコーディネートが主な仕事です。 市場調査や集客戦略を踏まえて、訪日客に魅力的なプランを提供します。語学力や企画力、調整力が求められ、旅行者のニーズに合わせた柔軟なプランニングで、満足度の高い観光体験を提供することが重要です。

マーケティング・プロモーション系

マーケティング・プロモーション系では、観光地や施設、商品・サービスの情報発信、SNSやWeb広告、インバウンド向けキャンペーンの企画などを行います。訪日客の消費動向やトレンド分析に基づき、効果的なプロモーション戦略を決定します。語学力やマーケティング知識を活かし、日本の魅力を海外に伝える重要な仕事です。

関連記事：海外を飛び回る仕事がしたい。海外出張や海外転勤が多い仕事とは

インバウンド業界で働く魅力

インバウンド業界では、外国人観光客と直接関わる機会が多いです。そのため、日本の魅力を伝えながら語学力や異文化理解力を活かせることが、仕事の大きな魅力といえるでしょう。

さまざまな国に住む人と交流しやすい

インバウンド業界では訪日外国人と直接関わる機会が多いため、さまざまな国の人々と交流できます。異なる文化に触れることで視野が広がり、異文化への理解や多様な価値観を学べるでしょう。 また、国際的な感覚や柔軟な対応力を養えるため、グローバルな職場でも通用するスキルを身につけられるのも大きな魅力です。

日本の魅力を伝えられる

インバウンド業界で働く魅力の1つは、日本の文化や観光地、食の魅力を訪日外国人に直接伝えられる点です。 観光ガイドや文化体験イベントのスタッフとして働くことで、外国人旅行者に日本ならではの体験を提供できます。仕事を通じて日本の魅力を世界に発信できるため、やりがいを感じられる仕事です。

語学力を活かした仕事に就きやすい

外国人観光客と接する機会が多いインバウンド業界では、語学力を活かせる仕事が豊富です。外国語を使った接客や案内業務に従事することで語学力をさらに磨け、情報提供や多文化対応力も向上します。 語学力を活かしながらグローバルな環境でキャリアアップを目指せる点も大きな魅力です。

キャリアチャンスが広がる

インバウンド業界には、地域振興や観光地活性化のプロジェクト、海外展開企業での仕事などもあり、既存のスキルを活かしつつキャリアの幅を広げられます。国内外の舞台で幅広く経験を積めるため、将来的なキャリアアップにも大きく役立つ業界です。

幅広い働き方ができる

インバウンド業界では、観光地や宿泊施設でのフルタイム勤務、シーズンごとの短期雇用、オンラインで外国人向けの観光案内やサービス提供など、多様な働き方があります。ライフスタイルに合わせて柔軟に働けるのが魅力です。

インバウンド業界で求められる人材の特徴

インバウンド業界では、外国人旅行者と接する機会が多いため、語学力やホスピタリティなどのコミュニケーション能力が高い人材が求められる傾向にあります。以下で求められる人の特徴を紹介します。

外国語の理解・語学力

訪日外国人と接する業務では、英語はもちろん中国語や韓国語など第二外国語も使えると活躍の幅が広がります。資格取得や英会話学校、オンライン学習サービスなどでスキルを磨くことも効果的です。

語学力は必須ではない場合もありますが、話せることで情報提供や対応の幅が増え、キャリアアップにもつながるため、持っていて損はないでしょう。

ホスピタリティ

訪日外国人を相手にする仕事では、ホスピタリティが重視されます。ホスピタリティには、顧客目線での対応、相手への思いやり、サービス精神、期待に応える姿勢などが含まれます。 温かく丁寧な対応ができる人は旅行者に安心感を与え、満足度を高められるため、職場でも重宝されるでしょう。

多文化理解・国際感覚

さまざまな国の旅行者に対応するため、多様な文化への理解や国際感覚も求められます。宗教や食習慣、文化背景の違いを理解し、柔軟に対応することが重要です。 異文化理解力は観光ガイドや体験型サービス、飲食店や小売店での接客にも役立ち、旅行者に安心・快適な滞在を提供するうえで不可欠なスキルです。

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インバウンド業界へ転職するためのポイント

インバウンド業界へ転職するために、押さえるべきポイントについて解説します。

スキルや資格を整理する

インバウンド業界では語学力や接客スキル、観光関連の資格があると転職に有利です。英語や中国語、韓国語など扱える語学力を整理し、履歴書に明記すると評価されやすいでしょう。

また、観光ガイドや通訳案内士、ホスピタリティ関連の資格も強みになります。事前に自分のスキルや経験を整理して応募先の求める条件と照らし合わせることで、スムーズな転職活動につながるでしょう。

志望動機を整理する

「なぜインバウンド業界で働きたいのか」「どの分野で貢献できるのか」を整理し、応募書類や面接で伝えられるように準備しましょう。インバウンド業界の現状や応募先企業の強みを理解していると熱意が伝わりやすく、採用担当者に良い印象を与えられます。

転職サイトに登録する

転職サイトに登録して、自分が希望する内容でインバウンド業界の求人があるかチェックしてみるのも良いでしょう。転職サイトでは多くの場合、サービスの登録・利用は無料で、気になる求人に応募したり、スカウトを受けたりすることができます。

どのような求人が多いのかを研究して、必要に応じて資格を取得したり、今の職場で経験領域を広げたりしておくと、今後の転職活動に活かせるでしょう。

まとめ

インバウンド業界は、以前にも増して活気を増してきています。訪日外国人旅行者数の増加や観光業の拡大が見込まれるなかで、今後も成長が期待される分野です。外国語や異文化への関心を活かした仕事に興味がある方は、このタイミングでインバウンド業界への転職を考えてみると良いでしょう。

転職活動を行う際には、応募先企業の業務内容や社風が自分に合っているかを確認することが重要です。自身の強みやスキルをしっかり把握しておくことで、入社後にスムーズに活躍できる可能性が高まります。 本記事で紹介したように、転職サイトに登録したり転職アプリを活用したりして、求人情報を確認してみましょう。

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