「頭の中の考えや意見をうまく言葉にできない」
「企画書や報告書を書くのが苦手…」

このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。思いついたアイデアや考えがあったとしても、うまく相手に伝えられないと、モヤモヤしたり誤解されたりします。 また仕事においても、言語化能力がある人とない人では、言葉の説得力に大きな差が生まれるでしょう。

本記事では、言語化がうまい人の特徴や、言語化がうまい人が持つ5つの要素を解説します。言語化能力を鍛えるトレーニング方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 

言語化能力とは？

言語化能力をひと言で表すと「頭の中のモヤモヤを言葉で表現する力」のことです。頭で思い浮かんでいる考えや情報を、相手にわかりやすく伝えることを言語化能力といいます。

言語化ができていれば、相手に情報が正しく伝わります。しかし、うまく言葉にできていないと、誤解されたり、相手が理解不足に陥ったりしかねません。

「報告しているのに上司に伝わっていない」
「お客様に商品の説明をしているのに成約が取れない」

このような状況は、言語化能力が低いことで起きやすいです。言語化がうまくできるようになると、相手に意見が伝わりやすくなるため、仕事や人間関係が円滑に進みやすくなります。

言語化がうまい人の特徴

言語化がうまい人には、以下のような特徴があります。

• 頭で思ったことをスラスラ言葉にできる
• 語彙力がある
• 抽象的ではなく、具体的に説明できる
• 話の要点や論点を整理できる
• わかりやすい文章を書くのが得意
• 本や文章を読むことが好き

ぴったり合う言葉を見つけられる「語彙力」、情景が思い浮かぶ「具体化力」、物事を構造化して考えられる「論理的思考力」などがあることが、言語化がうまい人の特徴だといえるでしょう。

言語化能力があることのメリット3つ

言語化能力があることで、以下のようなメリットが得られます。

1. 自分の感情や思考を客観視できる
2. プレゼンや交渉スキルが上がる
3. 人間関係がうまくいく

それぞれのメリットについて解説します。

①自分の感情や思考を客観視できる

言語化能力があれば、自分の感情や思考を客観視でき、コントロールしやすくなります。言葉で状況を詳細に説明できるため、冷静に解決策を考えられるからです。

たとえば、仕事でうまくいかずイライラしていると仮定します。言語化能力が低いと、なぜイライラしているのか説明するのが難しく、適切な解決策も思いつきづらいです。

しかし、言語化能力が高ければ「なぜそうなっているのか」「どうすれば苛立ちを抑えられるのか」など現状を客観視でき、冷静に対処できます。

②プレゼンや交渉スキルが上がる

プレゼンや交渉スキルが上がることも、言語化能力があることのメリットです。プレゼンや交渉に欠かせない要素に、「根拠」と「効果・利益」があります。

物事を人に勧めるうえで「なぜおすすめなのか」「その案を取り入れるとどんないいことがあるのか」を、相手が頭の中で想像できるよう、具体的に伝えなければなりません。

言語化能力が高ければ、状況に合わせた具体例や相手の理解度に合わせたワード選びができるため、プレゼンや交渉が通りやすくなるでしょう。

【関連記事：仕事ができる人の特徴を9つ紹介！できない人との考え方の違いも解説】

③人間関係がうまくいく

言語化能力が高いと、人間関係でうまくいきやすくなります。なぜなら、相手に伝わりやすい言葉を使って適切にコミュニケーションがとれるため、認識のズレや誤解が生じにくくなるからです。

仕事において、同僚や上司、取引先とのコミュニケーションは欠かせません。わかりづらい伝え方をしていると、何をいいたいのか相手は理解できず、苛立ちを覚えられることもあるでしょう。

うまく言語化できていれば、過不足なく情報を伝えられ、コミュニケーションの問題も起きづらくなります。

【関連記事：「職場の人間関係に疲れた」と思ったときに取るべき行動・対処法を紹介】

言語化がうまい人が持つ5つの要素

言語化がうまい人は、以下5つの要素を持っていることが多いです。

1. 観察力
2. 論理的思考力
3. 語彙力
4. 客観的視点
5. 要約力

それぞれの要素について、詳しく解説します。

①観察力｜物事を観察する力

言語化がうまい人は、観察力を持っています。観察力は、物事に共通するポイントや変化、本質を見つけ出す能力のことです。

観察力があると、日常の中の細かい変化や違和感に気づきやすいです。違和感の原因を積極的に調べたり、共通する部分を見つけ出して言葉にすることで言語化能力が養われていきます。

街中の様子やまわりの人の会話などに興味・関心を持てる人、日常からさまざまなことに好奇心を持てる人は、観察力を磨きやすいといえるでしょう。

②論理的思考力｜情報を構造化して考える力

論理的思考力も、言語化がうまくなるうえで欠かせません。論理的思考力は、感情や直感で答えを見つけ出すのではなく、結論や根拠に分けて筋道立てて考えることです。

論理的思考力がないと、自分の意見が頭の中で散らかってしまい、相手にも伝わりにくくなります。主張や提案がわかりづらいと、たとえば打ち合わせやプレゼンで「結論は何？」とうまく伝わらないこともあるでしょう。

論理的に物事を考えられ、要素に分けてわかりやすく伝えられる人は、言語化が得意であることが多いです。

【関連記事：論理的思考とは？ビジネスで求められる理由や注意点、鍛え方まで解説】

③語彙力｜頭の中のことを言葉に変換する力

言語化は、頭の中にあるモヤモヤを言葉にすることです。そのため、的確な言葉を引っ張ってくるために語彙力が欠かせません。

最近では社会人の読書量が少なくなっていたり、チャットツールでの短文コミュニケーションが広がったりしていることで、語彙力が身についていない人も少なくありません。 語彙力が乏しいと、たとえば「やばい」「すごい」のような抽象的なワードしか出てこないこともあるでしょう。

語彙力を身につけることで、相手に合った最適な言葉を使えるようになり、円滑なコミュニケーションをとりやすくなります。

④客観的視点｜相手の目線に立つ力

自分の意見や考えを「相手に伝わってほしい」という思いから、感情的に伝えることもあるでしょう。しかし、物事を伝える際に大切にするべきなのは「相手がどう感じるのか」を客観的に考えることです。

たとえば、頼んでいた仕事をしていない同僚に対して「なぜ〇〇をまだやってないの？」と伝えたとします。やるべきことをやっていないのは、よくないことかもしれませんが、同僚は「怒られている」と感じるかもしれません。

このように、伝え方によっては相手との関係がギクシャクすることもあるでしょう。言語化がうまい人は「相手にどのように伝わるのか」という客観的視点を持っていることが多いです。

⑤要約力｜情報を端的にわかりやすく伝える力

言語化がうまい人は、要約力があります。要約力とは、物事の概要を端的に説明することです。

なかには「誤解のないように細部まで伝えなければ」と、1から10まで話をする人もいるでしょう。しかし、それだと話のまとまりが悪くなり「結局、何をいいたいのかわからない」と相手を困らせかねません。

自分の考えを相手にわかりやすく伝えるには、結論とその理由を端的にまとめることが大切です。情報を分解してわかりやすく伝えられれば、相手との認識のズレをなくせたり、会話をスムーズに続けられたりします。

【4ステップ】言語化がうまい人になるトレーニング方法

うまく自分の意見を伝えられない人もいるのではないでしょうか。ここでは、言語化がうまい人になるためのトレーニング方法を、4つのステップに分けて解説します。

「頭の中で考えていることをスラスラ言葉にしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

ステップ①：自分の話し方の癖を知る

話し方は人によって異なるため、まずは自分がどんな言語化をしているのか癖を知りましょう。癖を理解すれば、改善点が明確になり目的に合った言語化をしやすくなります。

• 目についたものをすぐ話に出している
• 自分目線の情報ばかり伝えている
• 事実を淡々と伝えている

このように自分は相手にどんな言語化をしているのか、把握してみてください。自分の話し方の癖を知るためには、制限を設けたうえで現在の状況を実況する方法が効果的。

• 1分以内に今いる場所の特徴を言語化する
• 30秒以内に見えた景色をわかりやすく言葉にする

上記のように、時間制限を設けることで「長く話しすぎていないか」「主観的になりすぎていないか」などを判断しやすくなります。

ステップ②：伝わりやすいテンプレートを知る

相手が理解しやすいように情報を組み立てて伝えることは、言語化がうまい人になるうえで大切です。相手に伝わりやすい言葉のテンプレートを知っていれば、うまく言語化ができるようになるでしょう。

伝わりやすいテンプレートのひとつに「PREP法」があります。PREP法は、以下の順番で文章を構成する型のことです。

• 結論（Point）
• 理由（Reason）
• 具体例（Example）
• 再結論（Point）

結論から伝えることで、相手は話のテーマや道筋を理解しやすくなります。ほかにも、起承転結に沿ったストーリー形式の型などもあるため、状況に合った型で話を組み立ててみましょう。

ステップ③：型に沿って実際に話してみる

実際に言葉にしてみたり、人との会話の中で実践してみたりすることで話の型が記憶に定着し、自然に言語化できるようになります。また人と話すことで、相手のしぐさや表情から、自分の言語化がうまくいっているのかそうでないのか判断できるでしょう。

相手が首をかしげていたり、うなずきが少なかったりする場合はうまく型に沿って伝えられていない、もしくは、別の型に沿って説明したほうがわかりやすいかもしれません。

同僚や友達と会話してみたり、SNSやチャットツールで短い文章で端的にわかりやすく伝える練習をしてみたりするのも効果的です。

ステップ④：周囲からフィードバックをもらう

自分の意図したことが過不足なく伝わっているかを確かめるためには、相手からフィードバックをもらうことが有効です。自分から意見を求めると、フィードバックをもらいやすくなります。

• 話の意図は伝わったか
• わかりづらい言葉はなかったか
• どうすればもっとわかりやすくなると思うか　など

上記のような質問を投げかけてみましょう。

言語化がうまくなるコツ3つ

言語化がうまくなるためのコツを3つ紹介します。

1. 文章力を磨く
2. 情報を細かく伝えすぎない
3. 相手に伝わりやすい言葉を使う

取り入れることでより言語化能力を上げられるため、ぜひ参考にしてください。

①文章力を磨く

言語化能力は、話すだけでなく文章を書いてアウトプットすることでも身につきます。

手軽に始めるなら、SNSやブログ、日記がおすすめ。また、会社の日報で業務の振り返りをするときに、業務内容や成果がわかりやすいよう書いてみるのもいいでしょう。

情報を具体的に伝える際には、5W3Hを意識することが大切です。

▼5W3H

• いつ・いつまでに（When）
• どこで・どこから（Where）
• 誰が・誰に（Who）
• 何を・何が（What）
• なぜ・どうして（Why）
• どうやって（How）
• どのくらい（How many）
• いくら（How much）

5W3Hのどれかが抜けていると、読んだ人から「どういうこと？」と疑問を抱かれやすくなります。文章を書くときに、情報に漏れがないか5W3Hに当てはめて確認してみてください。

また、文章力を磨くうえで語彙力が欠かせません。

新しい言葉を知るなら、本や新聞を読むのが効果的です。ビジネス書や小説、Web記事などを日常的に読む習慣を身につけて、言葉のバリエーションを増やしましょう。

②情報を細かく伝えすぎない

情報を細かく伝えすぎないことも、言語化がうまくなるためのコツです。

好きなことや伝えたいことがあると、ついつい熱く語りすぎることもあるでしょう。また、相手に誤解のないようにと、こと細かに情報を詰め込むこともあるかもしれません。

しかし、一度にたくさんのことを伝えられても、相手は情報の処理が追いつかない状態になりやすいです。そのため、まずは結論や抽象化した情報を伝えて、相手の反応次第で具体的な情報を語るようにしましょう。

③相手に伝わりやすい言葉を使う

相手に伝わりやすい言葉を使うことも、言語化がうまくなるうえでは大切です。たとえば、社内の共通言語として「ナレッジ」や「スキーム」といったカタカナ用語が使われているとします。

同じ会社のメンバーには問題なく伝わりますが、取引先や外部の業務委託先などで使うとうまく伝わらないこともあるでしょう。 「簡単な言葉に置き換えられないか」「別のワードのほうが伝わりやすいのではないか」などを意識して、相手に伝わる言葉を用いることが重要です。

言語化能力を身につけて活躍できる人材になろう

日常生活や仕事上で、伝えるべき情報が増え続けている現代。チャットツールやSNSの普及に伴い、端的にわかりやすく伝える言語化能力は、今の時代で欠かせないスキルといえます。

もっとうまく情報を伝えたいという方は、ぜひ本記事の内容を参考にして言語化能力をアップさせてください。

また、なかには「自分なりにがんばっているけれど、仕事で提案や意見がうまく伝えられない」と悩んでいる方もいるでしょう。仕事でうまく活躍できないのは、あなたに言語化能力がないからではなく、向いていない仕事をしているからかもしれません。

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