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目次
  1. 作業療法士とは何か
  2. 作業療法士の仕事内容
  3. 作業療法士の給料
  4. 作業療法士になるには?資格取得について
  5. 作業療法士のキャリアパス
  6. 作業療法士として、自分に合った職場で働くには
リハビリテーションのプロである作業療法士。実際にどんな仕事なのか、くわしく知る機会は少ないのではないでしょうか。

この記事では作業療法士の仕事内容、給料、資格取得方法、キャリアパスまでを網羅的に解説します。作業療法士の定義や役割、活躍の場といった基本的な情報から、具体的な現場での仕事内容、必要なスキルや給与についてもくわしく説明します。

医療やケアの場で活躍したい方やキャリアチェンジを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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作業療法士とは何か


作業療法士は、日常生活や仕事、趣味など、人々が「作業」を通して健康で充実した生活を送れるように支援する医療専門職
です。 けがや病気、発達上の課題、加齢などによって「作業」に困難を抱える人々に対し、専門的な知識と技術を用いて支援を行います。

作業療法の定義

法律で、作業療法とは以下のように定義されています。

この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。 (理学療法士及び作業療法士法第2条第2項)
引用:理学療法士及び作業療法士法|e-Gov 法令検索

作業療法士とは、上記の作業療法を行う専門職です。作業療法士の英語名称(occupational therapist)の頭文字をとって「OT」と呼ばれることもあります。

作業療法士の役割

作業療法士の役割は多岐にわたりますが、主な役割は以下のとおりです。

  • 評価:患者さん・利用者さんの状態を把握するために、身体機能、精神機能、生活環境などを評価します。
  • 計画立案:評価にもとづき、患者さん・利用者さんのニーズに合わせた個別的な作業療法計画を立案します。
  • 介入:日常生活動作訓練、趣味活動、就労支援など、さまざまな作業活動を通して患者さん・利用者さんの能力向上を図ります。
  • 環境調整:患者さん・利用者さんが生活しやすいように、住環境や職場環境の調整を行います。
  • 相談・助言:患者さん・利用者さんや家族に対して、作業療法に関する相談や助言を行います。
  • チーム連携:医師、看護師、理学療法士、社会福祉士など、他職種と連携して患者さん・利用者さんを支援します。

【関連記事:ケースワーカーとは?仕事内容から給料、資格までわかりやすく解説

作業療法士と理学療法士の違い

理学療法士(physical therapist, PT)は、身体の基本的な動作や物理的な機能の維持・向上を手助けする専門家です。

それに対し、作業療法士は生活を送るうえで必要な能力を回復したり、向上したりするサポートを行う専門家を指します。 筋肉や骨などの運動器のリハビリテーションのほかに、心臓や呼吸器のリハビリテーション、介護領域など広い分野で作業療法士と理学療法士は連携しています。

たとえば、大腿骨の骨折のために手術を受けた患者さんがいる場合で考えてみましょう。患者さんは脚を動かしにくい状態にあり、難しい動作があると仮定します。

理学療法士はこわばった筋肉をほぐしたり、歩くためのトレーニングを一緒に行ったり、杖の使い方や調整を行ったりします。

作業療法士は、トイレや衣服・靴の着脱など、日常生活で避けられない動きに制約がないかの確認を実施。ズボンの上げ下ろしなどの練習を行ったり、自助具を使うことが望ましい場合は、提案や使い方の練習をサポートしたりします。

【関連記事:理学療法士になるには?目指すための流れや求められる能力を紹介

作業療法士と言語聴覚士の違い

言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist, ST)は、「聴くこと」「話すこと」「言葉を理解し活用すること」「飲む・食べること」をサポートする専門家です。

それに対し、作業療法士は生活上の不具合を解消したり、社会に適応する能力を身につけたりする手助けをします。 食事や飲み込みのサポートが必要な方へのリハビリテーション、精神科領域、子どもの発達にかかわる領域などの分野で作業療法士と言語聴覚士は連携しています。

たとえば、脳梗塞を患い、後遺症がある患者さんがいる場合で考えてみましょう。患者さんは飲み込む力や喋るための筋力が低下しており、利き手に麻痺があるため食事を摂るのにサポートが必要な状態だと仮定します。

言語聴覚士は、飲み込みの力を回復させるリハビリテーションや喋るための訓練を行い、誤嚥(唾液や飲食物が気道に入ってしまうこと)を避けるための調整を実施。また、手を使って食事ができるよう練習や椅子の高さの調整を行ったり、利き手でなくても使いやすいスプーンを提案したりします。

【関連記事:言語聴覚士(ST)とはどんな仕事?気になる年収や資格について解説

作業療法士が活躍する場

作業療法士は、さまざまな場所で活躍しています。主な活躍の場は以下のとおりです。

領域 具体的な施設例
医療機関 急性期病院、回復期リハビリテーション病院、精神科病院、診療所など
介護領域 特別養護老人ホーム、老人保健施設、デイサービスセンターなど
障害福祉領域 障害者支援施設、就労移行支援事業所、グループホームなど
自動福祉領域 児童発達支援センター、放課後等デイサービス事業所など
その他 行政機関、教育機関、研究機関、企業など

作業療法士の仕事内容


作業療法士の仕事は、患者さんの日常生活における「作業」への参加を支援することです。 ここでいう「作業」とは、食事、更衣、入浴、トイレなどの日常生活動作、仕事、学業、家事、趣味、地域活動など、人が生活のなかで行うあらゆる活動を含みます。

患者さんの身体機能や精神機能、生活環境などを評価し、それぞれのニーズに合わせた作業活動を通して、社会参加を実現できるよう支援するのが仕事です。

仕事内容の概要

作業療法士の仕事は、大きく分けて以下のプロセスで行われます。

評価

患者さんの身体機能、精神機能、認知機能、生活環境、社会背景などを評価します。面談、観察、各種評価ツールなどを用います。

目標設定

評価にもとづき、患者さんと共同で作業療法の目標を設定します。患者さんがどのような生活を送りたいかを尊重し、実現可能な目標を立てます。

介入

目標達成のために、さまざまな作業活動を用いた以下のような介入を行います。

  • 身体機能の改善
  • 精神機能の安定
  • 認知機能の向上
  • 日常生活動作の練習
  • 環境調整
  • 福祉用具の選定・指導
  • 社会資源の活用 など

再評価

介入の効果を定期的に評価し、必要に応じて目標や介入内容を修正します。

終結

目標が達成されたら、作業療法を終了します。その後も、必要に応じてフォローアップを行います。

具体的な仕事内容の例

急性期病院での作業療法

発症早期からのリハビリテーション介入を行い、日常生活動作の早期回復を目指します。ベッドから早期に離床できるようサポートし、食事・更衣・入浴・トイレなどの日常生活動作訓練などを行います。

精神科での作業療法

精神疾患がある方の社会復帰を支援します。以下のようなさまざまな活動を通して、社会生活技能の向上や症状の安定を目指します。

  • 対人関係の練習
  • 生活リズムの調整
  • ストレス対処法の指導
  • 就労支援
  • 創作活動
  • 園芸活動 など

回復期リハビリテーション病棟での作業療法

急性期を脱した患者さんの在宅復帰を支援します。具体的には以下のような作業を行います。

  • 日常生活動作訓練
  • 家事訓練
  • 住宅改修の提案
  • 福祉用具の選定・指導 など

退院後の生活を見据えた、実践的なリハビリテーションを提供する仕事です。

介護領域での作業療法

身体機能や認知機能の維持・向上、生活の質の向上を目指します。具体的には以下のような活動を行います。

  • 日常生活動作訓練
  • 趣味活動
  • レクリエーション
  • 認知症予防のためのプログラム
  • 住宅改修の提案
  • 介護負担軽減のための助言 など

障害福祉・児童福祉領域での作業療法

発達障害のあるお子さんや心身に障害のある方の自立支援を行います。主な業務は以下のとおりです。

  • 日常生活動作訓練
  • 遊びを通した発達支援
  • 感覚統合療法
  • ソーシャルスキルトレーニング
  • 就労支援
  • 環境調整
  • 福祉用具の選定・指導 など

作業療法士に必要なスキル

作業療法士は人の生活をコーディネートする専門職であるため、身体や病気に関する知識のほかに、さまざまなスキルが求められます。 以下は、作業療法士に求められるスキルの代表例です。

スキル 内容
コミュニケーション能力 患者さんやご家族、関係職種との円滑なコミュニケーションが不可欠です。
観察力 患者さんの状態を的確に観察し、ニーズを把握する必要があります。
問題解決能力 患者さんの課題に対して、適切な解決策を考え、実行する必要があります。
共感性 患者さんの気持ちを理解し、寄り添う姿勢が重要です。
専門知識 身体機能、精神機能、発達、作業療法に関する専門知識が必要です。

【関連記事:転職時の面接で聞かれる「自分の強み」とは?自己PRとの違いや、すぐに使える例文を紹介

作業療法士の給料

作業療法士の給料は、全国平均で432.5万円です。勤務先、経験年数、役職、地域などさまざまな要因によって変わります。

作業療法士などのリハビリテーションにかかわる専門職の活躍の場が増えているため、給与の参考にされる「実務経験」にもさまざまな考え方があります。 特定の領域に特化したリハビリテーションを行う機関で働く場合、専門的な症例の経験の有無を問われることも。

逆に、社会生活への適応能力をサポートすることを重視する職場なら、作業療法士以外のキャリアを積んだことを高く評価し、未経験者であっても高待遇な場合もあるようです。

ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、呼吸療法認定士、認知症ケア専門士など隣接領域の資格をとったり、認定作業療法士などの上位資格を取得したりすることで昇給する場合があります。

また、後輩育成やマネジメントなどを行うことで昇給するケースもあるでしょう。

参考:作業療法士(OT) - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)

作業療法士になるには?資格取得について


作業療法士として働くためには、国家資格である「作業療法士」の資格を取得する必要があります。作業療法士国家試験の概要、養成校の種類、受験資格、試験内容について解説します。

作業療法士国家試験の概要

作業療法士国家試験は、毎年1回、厚生労働省によって実施されます。試験に合格することで、晴れて作業療法士として働けるようになります。 受験資格を得るためには、指定された養成校を卒業することが必要です。

作業療法士養成校について

作業療法士の養成校は、大学、短期大学、専門学校があります。それぞれの学校の特徴を理解し、自分に合った学校を選びましょう。

種類 修業年限 特徴
大学 4年 基礎医学や関連分野の知識を深く学べる。研究活動に参加する機会もある
短期大学 3年 大学に比べて学費が抑えられる傾向にある。より早く現場で活躍したい方におすすめ。
専門学校 3年または4年 実践的なカリキュラムに重点を置いていることが多い。より早く現場で必要なスキルを身につけたい方におすすめ。

国家試験の内容

作業療法士国家試験は、毎年2月に行われます。原則として筆記試験で行われますが、知識だけで解答できる問題だけではなく、「実地試験」という症例にもとづく問題が出されることが特徴です。

養成校で学ぶ期間に実習もあるため、実習で実際のケースに触れたり考察力を養ったりして、実地試験に備える努力も求められます。

【関連記事:介護福祉士になるには?実務経験の積み方や未経験でのルートも解説

作業療法士のキャリアパス


作業療法士の資格を取得したあとは、さまざまな分野で活躍できます。自分の興味や適性、ライフスタイルに合わせてキャリアを選択することが可能です。 代表的なキャリアパスを以下に紹介します。

病院・クリニック(医療機関)勤務

急性期、回復期、慢性期など、さまざまな病期・病態の患者さんと関わり、リハビリテーションを提供します。

総合病院、大学病院、リハビリテーション専門病院、精神科病院、クリニックなど、働く医療機関によっても経験できる症例や専門性が異なるでしょう。

急性期病院での作業療法

発症早期からのリハビリテーション介入を行い、早期の社会復帰を目指します。病気や怪我による身体機能の低下を予防・改善するための訓練や、日常生活動作の練習を行います。

回復期リハビリテーション病棟での作業療法

集中的なリハビリテーションを提供し、家庭復帰や社会復帰を支援します。日常生活動作の訓練を中心に、家屋改修の提案や福祉用具の選定なども行います。

精神科での作業療法

精神疾患のある方の社会参加や生活の質の向上を支援します。対人関係の訓練や、作業活動を通しての社会生活技能の向上などを目指します。

施設勤務(介護・障害福祉・児童福祉領域)

病院以外でも、さまざまな施設で作業療法士は活躍しています。高齢者施設、障害者支援施設、児童発達支援センターなど、対象となる年齢層やニーズも多岐にわたります。

介護領域での作業療法

高齢者の日常生活動作の維持・向上を支援し、在宅生活の継続をサポートします。身体機能の維持・向上だけでなく、認知症予防のプログラムなども提供。

以下のような場所で働くのが特徴です。

  • 介護老人保健施設
  • 特別養護老人ホーム
  • 通所介護事業所(デイサービス)
  • 訪問リハビリテーション事業所 など

障害福祉・児童福祉領域での作業療法

障害のある子どもや大人の、自立支援や社会参加をサポートします。日常生活動作の訓練、コミュニケーション能力の向上、就労支援など、多岐にわたる支援を行います。

働く場所の具体例は以下のとおりです。

  • 就労移行支援事業所・就労継続支援事業所(A型・B型)
  • 共同生活援助事業所(グループホーム)
  • 児童発達支援事業所
  • 放課後等デイサービス事業所 など

開業

経験を積んだ作業療法士のなかには、訪問リハビリテーション事業所などを開業する人もいます。

その他のキャリアパス

上記以外にも、作業療法士の活躍の場は広がっており、キャリアパスは豊富です。

  • 研究職として大学や研究機関で作業療法に関する研究を行う
  • 教育職として作業療法士養成校で教鞭をとる
  • 企業で福祉用具の開発や販売に携わる など

【関連記事:医療事務の仕事はきつい?給与や仕事内容、資格なしでも転職できるかを解説

作業療法士として、自分に合った職場で働くには

作業療法士の活躍の場は多岐にわたり、それぞれの職場によって仕事内容や求められるスキル、やりがいも大きく異なります。自分に合った職場を見つけるためには、次で説明する要素を考慮する必要があるでしょう。

職場の種類を考える

リハビリテーションが身近なものになった少子高齢社会の現代では、作業療法士は非常に多くの場で求められています。 働く場所も多様であるため、職場の種類をざっと区分けして、自分自身の希望とすり合わせてみるのもよいでしょう。

以下のポイントで職場を分類するのが効果的です。

  • 事業領域:医療・介護・障害福祉などどの分野にあてはまるのかを確認。望むキャリアや経験したいことができるかどうかにかかわる。
  • 法人の規模:従業員数・事業所数などはどうか確認。転勤・異動の有無や職場風土にも関係。
  • 運営母体:公的機関なのか、民間企業なのかを確認。法人格によって経営方針が異なる場合もあるため、可能であれば法人格も確認することが大切。
  • 地域:作業療法士の仕事は地域の事情や医療計画・福祉計画などに大きく影響を受ける。地域の事情はどうか、自分自身の土地勘があるエリアかどうかも確認するのが大切。

職場環境を確認する

求人情報だけでなく、実際に職場見学やインターンシップに参加して、職場環境を確認することも大切です。職場の雰囲気、人間関係、教育体制、福利厚生などを確認し、自分に合った職場かどうかを判断しましょう。

見学やインターンシップを通じて、よりリアルな職場環境を把握できます。

確認したいポイント

  • 職場の雰囲気:活気があるか、落ち着いているか
  • 人間関係:スタッフ同士のコミュニケーションは良好か、相談しやすい雰囲気か
  • 教育体制:新人教育プログラムは充実しているか、資格取得支援制度はあるか
  • 福利厚生:産休・育休制度、 childcare leave、介護休暇制度の利用実績はあるか
  • 給与・待遇:給与体系、昇給制度、賞与、残業代の支給方法は適切か
  • 勤務時間・休日:勤務時間、休日、休暇の取得状況は希望と合致するか、ワークライフバランスはとれるか

自分の価値観や特性と照らし合わせる

職場選びでは、自分の価値観や強みと照らし合わせることが重要です。

作業療法士は他職種のスタッフとチームを組んで働くことが多いため、事業所や法人の風土と自分自身の特性・価値観とがマッチしていなければ、どんなに望む経験ができそうな職場であっても活躍するのは難しいでしょう。

職場の風土や価値観などは、職場見学やホームページ等の情報からはつかみにくいものです。そのため、職場との相性が客観的に把握できるツールやサイトを利用して就職・転職活動をする人が増えています。


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職場見学や選考時に確認できることは限られていますが、コンピテンシー診断を活用すれば応募先企業の考えや特徴と、あなたの特性がマッチしているかどうかを確認してから応募が可能。

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