仕事を辞めたらお金の不安がつきまといますよね。とくに気になるのが、失業手当や再就職手当など、もらえるお金のことではないでしょうか。

この記事では退職後の不安を解消するために、失業手当・再就職手当の申請方法ともらえるお金について解説します。会社都合・自己都合それぞれの退職理由別に、受給資格の要件や待期期間、給付制限など、知っておくべきポイントを確認しましょう。

ハローワークやオンラインでの申請方法、必要書類についてもくわしく解説します。再就職手当の種類や受給条件、支給額についても網羅的にまとめました。 また、失業期間中の生活費の節約術や効果的な仕事探しの方法も紹介しているので、安心して次のステップに進めます。

退職後の不安を解消し、スムーズに次の仕事への準備を進めていきましょう。

退職から失業手当受給までの流れ

退職から失業手当の受給開始までは、手続きと期間が必要です。会社都合退職と自己都合退職で流れが異なるため、それぞれ確認しておきましょう。

会社都合退職の場合

会社都合退職の場合、待期期間が7日間と比較的短く、すぐに失業手当の手続きを進められます。

ステップ	内容	期間の目安
1. 退職	会社から離職票を受け取ります。	-
2. ハローワークで求職の申し込み	離職票などの必要書類を提出し、求職の申し込みを行います。この際に、今後の就職活動の方向性についても相談できます。	退職後できるだけ早く
3. 受給資格決定	ハローワークが受給資格の有無を審査します。	1～2週間程度
4. 待期期間	7日間の待期期間があります。この期間中は失業手当は支給されません。	7日間
5. 失業認定日	指定された日にハローワークへ行き、求職活動の実績などを報告します。	4週間ごと
6. 失業手当の支給	失業認定後、指定の口座に失業手当が振り込まれます。	失業認定日の数日後

会社都合退職の場合、多くが特定受給資格者・特定理由離職者となるため、自己都合退職と比べて受給期間が長くなりやすいです。「受給資格」「待期期間」などについては後述します。

【関連記事：仕事を辞めるきっかけ7選｜退職する前にやるべき5つのことも解説】

自己都合退職の場合

自己都合退職の場合は、待期期間は7日間ですが、給付制限期間があるため注意が必要です。

ステップ	内容	期間の目安
1. 退職	会社から離職票を受け取ります。	-
2. ハローワークで求職の申し込み	離職票などの必要書類を提出し、求職の申し込みを行います。	退職後できるだけ早く
3. 受給資格決定	ハローワークが受給資格の有無を審査します。	1～2週間程度
4. 給付制限期間	自己都合退職の場合、1ヶ月間の給付制限期間があります。特定の理由（会社倒産に伴う解雇など）がある場合は、会社都合離職の場合を参照してください。	1ヶ月間
5. 待期期間	7日間の待期期間があります。	7日間
6. 失業認定日	指定された日にハローワークへ行き、求職活動の実績などを報告します。	4週間ごと
7. 失業手当の支給	失業認定後、指定の口座に失業手当が振り込まれます。	失業認定日の数日後

自己都合退職の場合、給付制限期間があるため、退職から実際に失業手当が支給されるまでには1ヶ月強かかることになります。生活費の計画は余裕をもって立てておくようにしましょう。

【関連記事：【例文あり】仕事を辞める理由と伝え方｜円満退社するポイント5つも紹介】

失業手当をもらうための条件

失業手当（正式には基本手当）を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件を理解しておかないければ、せっかくの権利を失ってしまう可能性があるので確認しておきましょう。

受給資格の要件

失業手当を受給するためには、まず「離職理由」と「被保険者期間」に関する要件を満たしている必要があります。

離職理由

大きく分けて「会社都合」と「自己都合」の2種類があり、それぞれで受給資格の要件が異なります。

離職理由	受給資格
会社都合	特定受給資格者・特定理由離職者となり、すぐに受給できます。
自己都合	一般受給資格者となり、1ヶ月の給付制限期間があります。ただし、正当な理由がある場合は待期期間7日後に受給できることがあります。

「特定受給資格者」とは、勤務先が倒産した場合や懲戒解雇以外の解雇をされた場合などで、転職先がすぐには見つからない人のことです。賃金不払い、長時間労働、ハラスメントがあった場合も含まれます。

一方で特定理由離職者には、以下のような人が含まれます。

• 勤務先（支店・工場など）が閉鎖されて事実上通勤ができなくなった人
• 結婚、妊娠・出産、育児、介護、病気など、やむを得ない理由で退職した人
• 有期雇用の場合で雇い止めにあった人

被保険者期間

過去1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上なければなりません。ただし、過去2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があれば、1年間の被保険者期間が6ヶ月未満でも受給資格を得られる場合があります。

パートやアルバイトでも、雇用保険に加入していれば被保険者期間としてカウントされます。

待期期間について

給付制限とは別に、7日間の待期期間があります。これは、離職後すぐに失業手当が支給されることによるモラルハザードを防ぐための期間です。

待期期間中は、失業手当は支給されませんが、この期間も求職活動を行うことが推奨されています。会社都合・自己都合に関わらず、この待期期間は必ずあります。

給付制限とは

自己都合で退職した場合、原則として1ヶ月の給付制限があります。これは、自己都合退職者が安易に失業手当を受給することを防ぎ、失業保険財政の健全性を保つための制度です。

給付制限期間中は、失業手当は支給されません。もし会社都合で退職した場合は、給付制限はないです。

待期期間（7日間）と給付制限の期間が経過したあと、失業手当の支給が開始されます。給付制限期間中は、積極的に求職活動を行うことが求められます。

ハローワークに通い、求職活動の実績を報告する必要があるでしょう。

2025年4月からの改正雇用保険法と給付制限期間の短縮について

自己都合退職の場合の給付制限期間は、以前は3ヶ月間でした。 それが段階的に短縮され、2025年4月からは給付制限期間が1ヶ月となりました。

また教育訓練を受ける場合、給付制限がなくなります。

ただし、例外があります。5年以内に3回以上自己都合で退職をした場合、給付制限期間が従来どおり3ヶ月となってしまいます。 転職する場合も自分にあった職場を見つけ、勤続できるようにしましょう。

【関連記事：「会社に行きたくない」と拒否反応が出たらどうしたらいい？対処法を紹介】

失業手当の金額の計算方法ともらえるお金

失業手当の金額は、退職前の給与をもとに計算されます。具体的には、退職日以前6ヶ月間の賃金総額を180で割って算出した額が「基本手当日額」となり、この金額をベースに支給日数をかけて総額が決定します。

参考：基本手当について｜厚生労働省

基本手当日額の算定方法

基本手当日額は、退職前の6ヶ月間の賃金総額をもとに計算されます。具体的には以下のとおりです。

1. 退職日以前6ヶ月間の賃金総額を算出する
2. その金額を180で割る
3. 算出された金額が基本手当日額となる（1円未満は切り捨て）

賃金総額には基本給だけでなく、残業代や通勤手当・住宅手当など、各種手当も含まれます。ただし、賞与や退職金は含まれません。

また、基本手当日額には年齢区分ごとに上限が設けられています。「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減により、上限額が変動します。

失業手当の支給日数

失業手当の支給日数は、被保険者期間、年齢、離職理由によって異なります。自己都合退職の場合と会社都合退職の場合では、支給日数が異なるため注意が必要です。

一般的には被保険者期間が長いほど、また会社都合退職であるほど、支給日数は長くなります。具体的な支給額や支給日数については、ハローワークに問い合わせをしてみましょう。

【関連記事：何のために働くのか？働く理由を見失う原因、面接対策を解説】

失業手当の申請方法と必要書類

失業手当を受け取るためには、ハローワークで手続きを行う必要があります。

ハローワークでの手続き

手続きの流れは以下のとおりです。

1. 管轄のハローワークへ行き、総合受付で失業手当の受給を希望する旨を伝える
2. 指定された窓口で、必要な書類を提出する
3. 職員から説明を受け、求職申込書などの必要書類を作成する
4. 初回説明会に参加し、失業認定申告書の書き方や求職活動の方法などについて説明を受ける
5. 4週間ごとにハローワークへ行き、求職活動の実績を報告する（失業認定日）

オンラインでの失業認定

失業手当を受給するには、原則としてハローワークに行かなければなりません。

退職して最初の手続きではハローワークに行くことになりますが、体調などの理由によってどうしても来所できない人の4週間ごとの失業認定や、就職相談についてはオンラインで対応可能です。

オンラインで失業認定や面談を受けるには、ハローワークで申し込みを行い、指定を受ける必要があります。退職して最初にハローワークに行く際に質問すると良いでしょう。

そのほか、離職票を電子交付する企業も出てきています。退職時に確認しておくと安心です。

必要な書類と準備

失業手当の申請には、いくつかの書類が必要です。

書類名	説明	備考
雇用保険被保険者離職票-1、-2	退職時に会社から交付される書類。離職理由や雇用保険の加入期間などが記載されている	失業手当受給の必須書類。紛失した場合は、会社に再発行を依頼する必要がある
マイナンバーカードまたはマイナンバーがわかるもの（通知カード、マイナンバー記載の住民票など）	本人確認と社会保障・税の状況確認のために必要	マイナンバーカードがない場合は、番号がわかるものを用意しておく
身分証明書（運転免許証、パスポートなど）	マイナンバーカードを提示しない場合に必要	マイナンバーカードを提示する場合は不要
写真（縦3cm×横2.4cm）	マイナンバーカードを提示しない場合に必要	マイナンバーカードを提示する場合は不要。3ヶ月以内に撮影したものを2枚
通帳またはキャッシュカード（本人名義）	失業手当の振込先口座を確認するために必要	キャッシュカードのみでも可
印鑑（認印）	書類に押印が必要な場合に備えて持参すると良い	近年では不要な場合がほとんど

【関連記事：世の中にはどんな仕事がある？知らない仕事が見つかる！職業を一挙紹介】

再就職手当とは？就職促進給付の受給条件ともらえるお金

再就職手当とは、失業手当を受給している方が早期に再就職した場合に、残りの失業手当の一定割合を一括で支給する制度です。

早期に再就職を促し、生活の安定を図ることを目的としています。 就職促進給付には、再就職手当以外にもさまざまな種類があります。

再就職手当

再就職手当は、失業手当の所定給付日数の3分の1以上を残した状態で再就職した場合に受給できます。再就職先が雇用保険の適用事業所で、1年以上雇用されることが条件です。

支給額は、残りの所定給付日数に応じて変動します。

• 残日数が所定給付日数の2/3以上：残りの所定給付日数の70%を支給
• 残日数が所定給付日数の1/3以上：残りの所定給付日数の60%を支給

就業促進定着手当

就業促進定着手当とは、簡単にいえば、転職によって給与が下がった場合に受けられる手当のことです。給与が下がってからの生活に慣れるまでの生活費の補填に活用できるでしょう。

常用就職支度手当

常用就職支度手当は、以下を満たす場合に支給されることがあります。

• 失業給付の残日数が所定給付日数の1/3未満
• 高年齢受給資格者、特例受給資格者または日雇受給資格者
• 障害があるなど、就職に困難さがある方が安定した職業に就いたとき

対象になるかどうかは、ハローワークでご確認ください。

移転費

移転費はハローワークの紹介により、住居を移転して就職する方や職業訓練を受ける方に支給されます。移転に伴う費用の一部を補助することで、就職を促進する目的があります。

広域求職活動費

広域求職活動費では、自宅から遠方の地域で求職活動を行う場合に、交通費や宿泊費の一部が支給されます。広域での求職活動を支援することで、より良い就職機会を得られるようにするための制度です。

短期訓練受講費

短期訓練受講費は、ハローワークが指定する職業訓練を受講する場合に、受講料の一部が支給されます。スキルアップを支援することで、再就職を促進する目的があります。

求職活動関係役務利用費

求職活動関係役務利用費は、就職活動の際に利用した一時保育などの費用を補填する制度です。面接などの選考だけでなく、教育訓練受講時にも利用できます。

【関連記事：会社を半年で辞めるとどうなる？メリットやデメリット、再転職を叶える7つのコツを解説】

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失業手当や再就職手当に関するよくある質問

ここでは、失業手当や再就職手当に関するよくある質問にお答えします。

自己都合退職でも失業手当はもらえる？

はい、自己都合退職でも失業手当はもらえます。給付制限があるので、詳細は本記事前半の「退職から失業手当受給までの流れ」を参照してください。

失業手当をもらいながらアルバイトはできる？

失業手当をもらいながらアルバイトをすることは可能です。ただし、アルバイトによる収入によって失業手当の支給額が減額され、支給されない場合もあります。

アルバイトを継続的に行うことで「失業状態にない」と判断される場合があるためです。アルバイトをする場合に加え、ボランティアを行った場合や家業の手伝いをした場合もハローワークに報告する義務があります。

【関連記事：隙間時間に在宅で働けるアルバイト・業務委託とは？主な仕事内容などを紹介】

在職中に失業手当の手続きはできる？

在職中に失業手当の手続きをすることはできません。失業手当を受給するなら、離職したあとに手続きを行う必要があります。

ただし、退職日が確定している場合は、事前に転職活動を行うことで次の就職がスムーズに進むでしょう。

失業手当の受給期間中に病気やケガをした場合はどうなる？

失業手当の受給期間中に病気やケガをして働けない場合は、失業手当と同額の傷病手当を受け取れます。万が一失業期間中に病気やケガをした場合は、ハローワークに連絡してみましょう。

失業手当の受給期間が満了したあとに再就職できなかった場合はどうなる？

失業手当の受給期間が満了したあとに再就職できなかった場合は、生活保護や住居確保給付金などの支援制度を利用できる可能性があります。 お住まいの自治体の窓口やハローワークに相談してみましょう。

失業期間中の生活費の節約術

失業期間中は収入が途絶えるため、生活費の節約が重要になります。計画的に支出を抑え、再就職までの期間を乗り切りましょう。

固定費の削減

まずは毎月必ず出ていく固定費の見直しを行いましょう。固定費を削減できれば、大きな節約効果が期待できます。

• 通信費：スマートフォンや自宅インターネット回線の料金プランやキャリアを見直す
• 光熱費：基本料金プランを見直す
• 保険料：必要のない保障を削り、より安い保険に乗り換える
• 家賃：家賃の安い物件への引っ越しも検討（更新時期が近い場合は、更新料が発生する前に引っ越す）
• サブスクリプション：利用していないサブスクリプションサービスがあれば解約する

変動費の削減

固定費ほどの削減効果は見込めないことが多いものですが、変動費の削減も大切です。

• 食費：自炊をし、スーパーマーケットの特売日やタイムセールを活用したり、食材をまとめ買いしたりする
• 日用品：ドラッグストアやスーパーマーケットの特売日や100円ショップを活用。本当に必要なものだけを購入
• 交際費：外食や飲み会をオンライン交流・ホームパーティーに切り替える
• 趣味・娯楽：無料のイベントに参加したり、図書館や公園などを活用したりする

収入を増やす工夫

節約だけでなく、収入を増やす工夫も検討してみましょう。

• 副業：失業手当を受給しながらでも、一定の範囲内でアルバイトや副業をすることができる
• 不用品の売却：自宅にある不用品をフリマアプリやオークションサイトで売却
• ポイ活：クレジットカードのポイントや、ポイントサイトなどを活用

失業期間中は収入が減るため、生活費の節約は非常に重要です。上記の節約術を参考に、無理のない範囲で節約に取り組み、再就職までの期間を乗り切りましょう。

また支出を記録することで、無駄な出費を把握しやすくなります。家計簿アプリなどを活用するのもおすすめです。

【関連記事：無職になったら、どう生きる？世間からの評価は？社会復帰する方法も解説】

仕事探しを効率的に進める方法

仕事を辞めるかどうかを考えている段階から、転職について調べたり行動に移しておくことがおすすめです。

ハローワークの活用

ハローワークは職業相談、職業訓練の案内、失業給付の手続きなどで利用することになる機関です。ハローワークから仕事の紹介を受けることもできます。

ハローワークを効果的に活用するためのポイントは次のとおりです。

• 窓口での相談：自分の希望やスキル、経験を伝え、適切な求人を紹介してもらう。キャリアコンサルタントによる個別相談も利用できる
• 求人情報の検索：ハローワークインターネットサービスを利用すれば、自宅でも簡単に求人情報を検索できる
• 職業訓練の活用：スキルアップやキャリアチェンジを目指したい場合は、ハローワークが提供する職業訓練も検討する。さまざまな分野の訓練コースがあり、無料で受講できるものもある

転職エージェントの活用

転職エージェントは、求職者の転職活動をサポートする専門家です。求人紹介だけでなく、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉など、さまざまなサポートを提供してくれます。

転職エージェントを効果的に活用するためのポイントは次のとおりです。

• 複数のエージェントに登録：複数のエージェントに登録することで、より多くの求人情報を得られる
• 担当者との良好な関係構築：担当者と密にコミュニケーションを取り、自分の希望やキャリアプランをしっかりと伝える
• 非公開求人の紹介：エージェントが保有している貴重な求人情報を得られる可能性がある

転職サイトの活用

転職サイトは、インターネット上で求人情報を検索できる便利なツールです。数多くの求人情報が掲載されており、自分の希望に合う仕事を見つけやすいのが特徴。

転職サイトを効果的に活用するためのポイントは次のとおりです。

• 自分の強み・特性を言語化して情報を登録する：自分に合った企業に出会うために最も重要
• 詳細検索機能の活用：業種、職種、勤務地、年収など、さまざまな条件で絞り込み検索が可能
• スカウト機能の活用：自分のプロフィールを登録しておけば、企業から直接スカウトを受け取れる

自分に合った仕事探し方法を選び、積極的に行動することで、希望の仕事に近づけるはずです。焦らずにじっくりと時間をかけて、最適な仕事を見つけましょう。

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仕事探しは、人生における大きな転換期。だからこそ、自分に合った職場を見つけたいですよね。闇雲に求人サイトを眺めるだけでは、時間と労力の無駄になってしまう可能性もあります。

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