憧れていた教員の仕事に就いたものの、責任が重くさまざまな事情で転職したくなることもあるでしょう。教員を続けるのが困難と感じる人の中には、どのような理由があるでしょうか。

いざ転職を考えても、教員からほかの職種の転職を成功させるためには、いくつかのステップが必要です。本記事では転職で教員のスキルを活かせるおすすめの仕事を解説します。 教員から他の職業への転職を考えている方はぜひ、参考にしてみてください。

教員からの転職を考える5つの理由

教員から転職を検討する人は、さまざまな理由からその決断をくだしています。以下に、教員を辞めたいと感じる主な理由を、5つ挙げてみました。

1. 激務・長時間労働で疲弊する
2. 給与が少ない
3. 保護者とのやりとりでストレスを感じる
4. 生徒とうまく関係を構築できない
5. 家庭との両立が難しい

1．激務・長時間労働で疲弊する

教員の仕事が激務といわれるのは、多くの業務負担にあります。教員は授業のみならず、生徒への連絡、宿題・テストのチェックなどの業務を放課後までに終わらせなければいけません。 勤務時間中に業務を終えることが難しい場合、残業や家に仕事を持ち帰ることもあります。

また、担任となると生徒一人ひとりに時間をかけたり、保護者とのコミュニケーションが求められます。 そのため、長時間労働で疲弊してしまう教員も少なくありません。

2．給与が少ない

教員の仕事は激務の割に給与が見合っていないことから、辞めたいと感じる人も多いといいます。教員の給与が他の職種に比べて低いとされる理由は、専門職であるにもかかわらず、報酬が制約されていることにあります。

給与は労働組合との交渉によって決定されることが一般的で、成果が給与に直結する仕組みではないため、給与の増加を実現するのが難しいのです。

3．保護者とのやりとりでストレスを感じる

教育現場において問題となっているのが、「モンスターペアレント」と呼ばれる一部の保護者による、理不尽な要求や継続的な苦情です。これにより、教員は業務において余分な負担やストレスを抱えることがあります。

対応が難しい場合や苦情が絶えない状況では、教員は自身の業務に対するモチベーションが低下し、結果的に退職を選んでしまうことも少なくありません。

4．生徒とうまく関係が構築できない

近年の教育環境では、教員と生徒の関係構築が複雑化しています。この背景には、親の期待や圧力が増加し、コミュニケーションの誤りからパワハラとして訴えられるリスクが高まっているからです。

生徒との適切なコミュニケーションが難しくなると、信頼関係や理解が不足し、それが教育の質に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況が続くと教員は挫折感を覚えたり、転職を考えたりするようになるのです。

5．家庭との両立が難しい

教員は授業準備や教材作成、テスト採点、生徒指導、保護者対応、部活動指導など、業務が多岐にわたります。時間外の勤務も多く、休日出勤も珍しくありません。

そのため、家庭との両立に苦労している教員も少なくないでしょう。

特に子育て中の教員は、保育園や学校の行事への参加、子どもの急な病気への対応などに追われ、仕事との両立に悩んでいる方が多くいます。

このように教員の仕事は多忙であり、家庭との両立が難しい現状があります。そのため、転職を考える教員も少なくありません。

教員に不向きな人の特徴

「教員の仕事を辞めたい」「教員から別の仕事に転職したい」と考える人にはどのような特徴があるのでしょうか。教員の仕事に向いていない人の特徴を挙げてみました。

1. 自分の時間を大切にしたい
2. マイナス思考で物事を考える
3. マルチタスクが得意ではない
4. 臨機応変な対応ができない
5. ストレス耐性が低い
6. コミュニケーションが苦手

1．自分の時間を大切にしたい

教員の校務は平日は夜遅くまで授業の準備や、休日も部活動や研修で忙しく、プライベートの時間を確保することが難しいです。さらに休日にも外出先で、生徒や保護者と出くわす可能性があるため、身だしなみや振る舞いにも気を配らなければいけません。

そのため、自分の時間や趣味の時間を十分に確保したい人や、休日に思いっきりストレスを発散したい人は、教員の仕事に向いていないといえます。

2．マイナス思考で物事を考える

教員の仕事は、生徒からの批判や悪口に直面することがあります。同様に先輩教師や保護者からの圧力も感じることがあるため、精神的に強くなければ難しいとされる仕事です。

特にネガティブな考え方を持つ人はストレスが溜まりやすく、教育職に従事することの辛さを感じやすいでしょう。いわれたことを深刻に受け止めず、柔軟な考え方を持っている人のほうが、教員としての適性があるといえます。

3．マルチタスクが得意ではない

教員は、授業を行いながら限られた時間の中で校務を行う必要があります。同時に、部活動や授業の準備、資料作成、採点などの仕事もこなさなければなりません。

そのため、部活動や授業以外の作業も同時に進めていかないと仕事が山積みになってしまいます。マルチタスクが得意でない人は、教員に向いていないかもしれません。

4．臨機応変な対応ができない

教員は突発的な出来事が起こりやすい職業です。「子どもが怪我をした」「保護者から急な電話がかかってきた」「授業中に機器のトラブルが発生した」など予期せぬ出来事が起こります。

このようなときに教員は冷静に状況を判断し、臨機応変に対応しなければなりません。しかし臨機応変な対応が苦手な人は、突発的な出来事にパニックになったり、適切な判断ができなかったりする可能性があります。

たとえば授業中にプロジェクターが故障した場合、代替案として板書で授業を進める、別の教材を使う、あるいは急遽グループワークに切り替えるなど、柔軟な対応が求められます。しかし対応にとまどって時間を無駄にしてしまったり、授業を中断せざるを得ない状況になってしまったりするようでは、子どもたちの学びに支障が出てしまうでしょう。

このように教員には臨機応変な対応力が求められます。もし、あなたが臨機応変な対応に苦手意識を持っている場合は、教員という仕事を続けるのは難しいかもしれません。

5．ストレス耐性が低い

教員は日々、さまざまなストレスにさらされます。保護者からのクレームや生徒の問題行動への対応、膨大な事務作業など、ストレスの原因は多岐にわたるでしょう。

これらのストレスに適切に対処できない場合、心身の健康を損なう可能性があります。教員として働くうえで、ストレス耐性は重要な要素といえるでしょう。

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6．コミュニケーションが苦手

教員は児童生徒、保護者、同僚など、さまざまな立場の人と円滑なコミュニケーションを取ることが求められます。日々の授業はもちろん、保護者との面談、学校行事や職員会議など、あらゆる場面で良好な人間関係を築く必要があるでしょう。

たとえば、授業で生徒の理解度や反応を見ながら説明の仕方を変えたり、保護者からの相談に丁寧に対応したりするなど臨機応変なコミュニケーション能力が求められます。また、同僚と協力して授業準備や学校運営を行う場面も多く、チームワークを築くことも重要です。

人と話すことが苦手だったり、相手の気持ちを理解することが難しかったりする場合は、教員として苦労する場面が多いかもしれません。円滑なコミュニケーションが難しいと、誤解が生じたり、人間関係にストレスを感じたりする可能性があります。

教員から目指せるおすすめの転職先8選

教員から民間に転職する際、多くの選択肢が挙げられます。おすすめの転職先は個人の興味やスキル、経験によって異なりますが、よくある選択肢を以下で紹介します。

1. 教育関連の企業
2. 塾講師・家庭教師
3. 学校の事務職
4. 大学職員
5. 公務員
6. 営業職
7. 一般事務・営業事務
8. 未経験採用を積極的に行っている職種

1．教育関連の企業

小学校教師から企業への転職を考える際には、教育に特化した企業が適しています。たとえば教科書の編集や開発、新しい学習教材やドリルの企画・制作に関わる学習教材の企画担当などです。

こういった企業での仕事は、学習指導要領に関する知識や教育者としての経験を最大限に活かせるでしょう。

2．塾講師・家庭教師

教員が転職する際の選択肢として、塾講師、家庭教師、インストラクターもおすすめです。これらの職種は教員の経験が非常に役立ち、授業の進め方や生徒とのコミュニケーションのスキルがそのまま活かせます。

また、生徒の成績向上や理解度の向上に関わることでやりがいを感じられるでしょう。

【関連記事：インストラクター・講師の仕事の種類は？なり方・仕事の見つけ方】

3．学校の事務職

教員からの転職先として、学校の事務職もおすすめです。経理事務や施設管理、生徒のサポートなど多くの業務が存在します。

経理事務は給与計算や決算を担当し、施設管理では学校の施設を管理します。これらの業務にはWordやExcelなどのパソコン操作スキルが必須となるので、身につけておくと安心です。

4．大学職員

大学職員は、教育現場に関わり続けながら、教員とは異なる立場で大学運営に携われる仕事です。大学の経営企画や広報、入試、学生支援、研究支援など、さまざまな業務があり、自分の専門知識や経験を活かせる可能性も広がります。

教員経験で培った学生への理解やコミュニケーション能力は、学生支援やキャリア支援といった業務で役立ちます。また、一般企業と比較して安定性が高く、ワークライフバランスを重視しやすい点もメリットです。

5．公務員

教員経験を活かせる公務員の職種は、教育委員会や自治体の生涯学習課などです。

教育行政に携わることで、子どもたちの学びを支えられます。また、一般行政職への転職も可能です。幅広い業務に携わることで、新たなスキルを身につけられるでしょう。

公務員試験の対策は、教員採用試験の経験が役立ちます。筆記試験の教養科目は共通する部分が多く、論作文対策の基礎力も備わっているため、有利に進められるでしょう。

面接試験では、教員経験で培ったコミュニケーション能力や問題解決能力をアピールすることで、採用担当者に好印象を与えられます。

6．営業職

教員から営業職に転職する人は珍しくありません。教員として養ったスキルは、営業職において非常に役立ちます。

生徒に対してわかりやすく教えるスキルや、生徒とのコミュニケーション力は営業職でも極めて重要な要素となるため、早く順応できるでしょう。

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7．一般事務・営業事務

教員から事務職への転職は未経験の分野かもしれませんが、教員のときに膨大な校務をこなしていた経験は事務作業にも役立ちます。そのため、コミュニケーション能力をアピールすれば事務職への道も開けるでしょう。

ただし、学校で必要なパソコン操作よりも高度なスキルを身につける必要がある点には注意が必要です。

8．未経験採用を積極的に行っている職種

教員からの転職において、未経験採用を積極的に行っている職種はいくつかあります。建築業、運送業、介護、ITなどの分野では人手不足が続いており、未経験者でも積極的に採用されやすい傾向があります。

新しい分野にチャレンジしたい方は、人手が足りていない業界の求人を探すのがいいでしょう。

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教員が転職する5つのコツ

教員が転職する際には、成功の鍵となるコツを理解しておくことが重要です。転職活動を始める前に、押さえておきたいポイントを確認しましょう。

1. 自己分析を行う
2. 教員経験を活かせる職種を選ぶ
3. 求められるスキルを身につける
4. 転職する時期を明確にする
5. 転職サイトを活用して自分に合う転職先を紹介してもらう

1．自己分析を行う

転職活動を始める前に、まずは自己分析を行いましょう。教員として培ってきた経験やスキル、強み・弱みを明確にすることで、本当にやりたいことや向いている仕事が見えてくるはずです。

自己分析では、以下3つの軸で考えてみましょう。

軸	具体的な内容
好きなこと	どんな時にやりがいを感じていたか？ どんな授業が好きだったか？ どんな生徒と関わるのが好きだったか？など
得意なこと	どんな分野の授業で高い評価を得ていたか？ 生徒指導でどんな成果を上げたか？ どんなスキルを身に着けたか？など
大事なこと	ワークライフバランス やりがい 安定性 収入など

これらの軸を参考に棚卸しを行いながら、本当に実現したいことを明確にしていきましょう。たとえば「生徒と深く関わる中でやりがいを感じていた」「生徒の成長をサポートすることが得意」「ワークライフバランスを重視したい」という結果が出たとします。

これらの結果を踏まえると、教育関係の仕事のなかでも、少人数制の塾講師や家庭教師、スクールカウンセラーなどが適した転職先として考えられます。自己分析を丁寧に行うことで転職活動の軸が定まり、効率的に進められるでしょう。

2．教員経験を活かせる職種を選ぶ

教員から転職する場合、教育経験を活かせる職種を選ぶとスムーズな転職活動が可能になります。たとえば、教育に携わる民間企業や教育施設の講師だと、教育に関する専門知識や経験を持つ応募者は即戦力とみなされるため、採用される可能性が高まります。

これらの職種は教員として培ったスキルやコミュニケーション能力が活かされ、新たなキャリアに順応しやすくなるでしょう。

3．求められるスキルを身につける

教員からの転職を検討する際には、希望する業界で求められる人材や必要な能力をリサーチし、それに合わせてスキルを向上させましょう。たとえば、エンジニア職を目指す場合はプログラミングを学ぶなど、目指す分野で有利になるスキルを身につけることが転職成功の鍵となります。

また、どの業界でもビジネスマナーが重要視されるため、「ビジネス実務マナー検定」などを受験してスキル向上に努めるのもよいでしょう。

4．転職する時期を明確にする

教員の校務は激務であり、忙しさの中で転職活動を進める必要があります。たとえば、4月に転職を目指す場合は、年明けから求人に積極的に応募を始めるなど、スケジュールを逆算して計画を立てるようにしましょう。

計画的なスケジュールと十分な準備を行うことで、激務の中でも転職活動を成功に導くことが可能です。転職活動でベストなタイミングについては、こちらの記事を参考にしてみてください。

【関連記事：転職活動でベストなタイミングはいつ？おすすめの時期を決めるポイントを解説】

5．転職サイトを活用して自分に合う転職先を紹介してもらう

教員からの転職を考える際には、転職サイトやハローワークを活用し、自分に合う転職先や非公開求人を紹介してもらうのがおすすめです。

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【関連記事：転職サイトでスカウトが届く仕組みとは？怪しい？届きやすくなるコツも解説】

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教員の転職でよくある質問

教員の転職でよくある質問を紹介します。

• 教員は転職が難しいって聞くけど本当？
• 教員から転職して高収入は狙える？
• 40代の教員が転職するのは厳しい？
• 小学校教員からのおすすめの転職先は？

教員は転職が難しいって聞くけど本当？

転職の際、企業は中途採用を行うため、即戦力となる可能性が高い応募者を優先的に選考するのが一般的です。そのため、教員としての経験だけでは、一部の企業ではビジネスにおいて即戦力が低いとみなされてしまうことも。

ただし、転職が難しいとされているからといって不可能というわけではありません。転職成功の鍵は希望の企業が求める人材やスキルを調査し、それに基づいた的確なアピールを行うことです。

教員から転職して高収入は狙える？

教員の給与は「年功序列」に基づいて設定されるため、30代以降に転職する場合、給与が低下する可能性があります。20代での転職は大幅な給与減少はありませんが、30代から40代で転職する場合は、収入の減少も視野に入れておくべきです。

どちらにせよ、未経験の職種に転職する場合は、初年度から年収が上がることを期待しないほうがいいでしょう。

40代の教員が転職するのは厳しい？

40代の教員が他業種に転職することは、教育関連の経歴に焦点が当てられるため、他の分野での転職は困難とされています。ただし、転職が難しいからといって不可能とはいえません。

新しい職種や分野で求められるスキルを身につけ、目標を明確にして自分を的確にアピールすることで転職も可能になるでしょう。

小学校教員からのおすすめの転職先は？

小学校教師からの転職でよく選ばれる道は、 幼稚園教諭や保育士などの教育関連の職種です。ただし、これらの職種は未就学児を対象としており、体力を必要とするデメリットが存在します。

また、多くの人が民間企業への転職を成功させています。給与を可能な限り下げたくない、体力が必要な仕事は避けたい、整った労働環境で働きたいと考える方には、民間企業への転職がおすすめです。

教員からの転職は強みを活かすことが大切！

教員からの転職で成功するためには、独自のスキルや経験を最大限に発揮することが不可欠です。

教員は多岐にわたるスキルを持っており、これらの強みを積極的にアピールすることが、転職成功につながります。自身のスキルが活かせる分野を見つけ、成長とキャリアの向上に努めましょう。

その際はぜひ、転職サービスのミイダスを活用し、自分に合った転職先を見つけてみてはいかがでしょうか。自己分析に役立つツールが豊富で、自分にフィットする求人からのスカウトを受けやすくなります。転職活動においてもひと役担うことでしょう。

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